ヤクルト、阪神、楽天などで監督を務めた野村克也氏（８２）の妻で、昨年１２月８日に亡くなったタレントの野村沙知代さん（享年８５）のお別れの会が２５日、都内のホテルでしめやかに営まれた。克也氏は公私両面で陰から全てかじ取りをしてくれたという亡き妻に「ありがとう」と感謝。最愛のサッチーを思い出し涙を拭った。

　サッチーとの懐かしい日々、たくさんの思い出が胸に去来した。お別れの会後に取材に応じた克也氏は時折、声を詰まらせて鼻水をすすり、目から涙がこぼれ落ちた。

　約１カ月前に最愛の妻が死去。「心の整理がなかなかね…。私より先に逝くとは夢にも思いませんでした。いい奥さんでした。これからどう生きて行けばいいか、というのが率直な気持ちです」と沈痛な面持ちだった。

　約１０００人が参列したお別れの会。あいさつした克也氏は「冗談半分、本気半分で『俺より先に逝くなよ』と言っていた。先に逝かれました」。昨年１２月８日、自宅の食堂でテレビを見ていた沙知代さんが、テーブルに頭をつけて動かなかった。「『おい大丈夫か』と言ったんですけど一言『大丈夫よ』と強気の言葉が返ってきた」。救急車で病院に運ばれたが帰らぬ人となり、「大丈夫よ」が最後の言葉となった。

　常にポジティブで強い女性だった。「マイナス思考は絶対にない。強気な性格でした。窮地に立った時に常に前向きで『大丈夫よ』というのが口癖でした」。克也氏もその言葉に何度も後押しされ、野球界を生き抜いてきた。「地球は自分中心で回っているような人生でした」という沙知代さんが今ではいとおしい。

　公私両面で夫を“リード”した。「ここで明かすのは何でしょうけど、裏で全てかじ取りというか、方向を出してくれた。全てにおいて。影の監督？おっしゃる通りです」。それが偽らざる真実だ。

　もう一度会えるなら何と言葉をかけたいか問われると「『ありがとう』しかない」。短い言葉にたくさんの感謝の気持ちを込めた。「私の残された人生、どうなるのかな、そっちの方が心配です」。天国に旅立った妻の偉大さを改めて痛感した。