オリックスが清宮“回避”のワケ…編成バランス整備を優先

 来月26日に行われるドラフト会議で目玉と言われる早実・清宮幸太郎内野手(18)。何球団が1位指名するかと話題になっているが、オリックスはその輪から早々と抜けている。現時点で12球団で唯一、指名する可能性がない球団とも言われる。20年に一人とも言われる逸材に手を出さないのはなぜなのか、その理由に迫った。

 23日のデイリースポーツに掲載された『12球団の清宮指名可能性』の表の中で唯一、オリックスだけに「×」が付いた。おそらくドラフト当日も清宮を指名することはないだろう。

 世間では“オリックスだけは独自路線”と言われる。だからといって評価していないわけではない。長村球団本部長は清宮について「いい選手であることは間違いない。高校生離れした打撃をしている。話題性もある」と言ったが「(指名に)いくかいかないは別にして」と付け足した。

 歯切れの悪いコメントには訳がある。チーム事情だ。すでに今季途中に加入したマレーロと来季は100万ドル(約1億1000万円)の契約を結んだ。さらに今季年俸が7000万円の小谷野、3億5000万円の中島、さらに外野手登録ながら一塁も守る年俸1億円のT-岡田もいる。一塁もしくは指名打者で起用する選手の名前は次々に挙がる。

 もしも清宮が入団したならば、清宮以外の選手への投資が無駄になってしまう。それでも、戦力に余裕がある巨人やソフトバンクならいい。オリックスの場合の一塁、指名打者以外は足りないのが現状だ。

 福良監督がシーズン中に一塁ベース付近を指さしながら「あそこら辺はいっぱいいるんやけどね。あそこだけ大渋滞している」と苦笑いするシーンを何度も見た。手薄な二遊間、三塁に比べて一塁、指名打者の候補はズラリと並ぶ状況は頭痛の種だった。

 すべてはこれまでの編成が、バランスを欠いたことが原因だ。支配下登録選手は66人。その内訳(カッコ内は育成選手)は投手37人(4)、捕手5人(2)、内野手13人(2)、外野手11人(1)。半数以上を投手が占めるが左腕は10人。その一人であるドラフト9位の根本は今夏、外野手に転向した。

 捕手は育成選手と合わせて7人。2人が故障した時期があり、2軍戦でさえギリギリで戦わざるを得なかった。足りない左投手、捕手、一塁以外の内野手を補強し、年齢層も含めた編成をバランスよく整えるには今後数年かかると予想される。

 来月のドラフト会議。清宮がどこへ行くかで盛り上がる中、オリックスだけは地味な指名になるかもしれない。それでも数年後、「この年のドラフトがあったから強くなった」と言われるために、逸材には目もくれずチーム強化に徹する。

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