あの人は今…関西で人気麻雀講師は「巨人はロッテより弱い」の元近鉄投手

 1989年のプロ野球日本シリーズでの“一件”で有名になった元近鉄の加藤哲郎さん(53)は現在、麻雀教室の講師としてシニア受講生に大人気だ。その一方で勝負師の顔もチラリ。白球を牌に持ち替え、プロ雀士を相手に現役時、果たせなかった念願の『タイトル』にも意欲をみせる。

 商都大阪の官公庁街、天満橋にあるオフィスビルの一室はなごやかな雰囲気に包まれていた。

 「いい形になってきましたね」「いやいや、そこは鳴かん方がええ。我慢、我慢」

 ニヒルでダンディーな印象とは裏腹に麻雀卓をこまめに回り、やんわりとアドバイスを送る。指摘されたご婦人方もどこか楽しそうだ。会員は70歳以上を中心に2000人と大盛況。「うまくなってくれると、こちらもうれしい」。引退後は解説者の他に俳優、飲食業を経験しており、接客はお手のもののようだ。

 講師を務める「健康麻将(マージャン)教室」は「酒を飲まない」「タバコを吸わない」「お金を賭けない」マナー重視派。プロ麻雀連盟など主に5団体ある中で麻将連合の流れを組んでいる。そもそも麻雀との出会いは近鉄にドラフト1位で入団してから。「駆け引きがおもしろい。状況判断などはピッチングと相通じるものがある」。同僚の阿波野、吉井、小野らと腕を競い合った。

 そんな加藤さんにとって、いまさらながら避けて通れないのが28年前の日本シリーズ。「巨人はロッテより弱い」発言だ。ことの真意は、ある番記者の脚色とのことながら「今でも取り上げてくれるのはありがたい」と言う。“近鉄愛”は今でも強く「バファローズ検定」を受けたり、テレビ局が企画する巨人との因縁番組にも積極的に出演している。

 麻雀の腕は関西トップクラス。「目標はプロ雀士と対戦する大会で優勝し、タイトルを取ること」。自慢のひげがピクついた。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)

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