ロッテ・二木、いくつかの重圧を乗り切った5勝目
「楽天1-3ロッテ」(6日、Koboパーク宮城)
最後の打者、代打・ウィーラーを146キロ速球で空振り三振に仕留めた二木に、派手なガッツポーズはなかった。
あったのは、「良かった」という心の底からのホッとした気持ちだった。
126球で被安打「4」、「9」奪三振、与四球は「1」で失点も「1」。抜群の投球で今季2度目の完投勝利。6月10日のヤクルト戦以来、約2カ月ぶりとなる5勝目を挙げた。
「プロの厳しさを逆に教えてもらわないように頑張りました」
投げ合う相手はドラ1新人の藤平だ。5日には、「年下には負けたくない」と話し、プロ4年目、21歳のプライドをにじませていた。
しかし、自身は開幕から4連勝後、5連敗中だった。チームは3連敗で、しかも救援陣が軒並み不調の中での先発となった。
この幾つもの“重圧”をパワーに変えた。
142キロから最速146キロのストレートには威力があった。
さらに伊東監督が、「よう投げてくれた。変化球でストライクが取れていたし、フォークも効果的だった」と評したように、文句なしのマウンドだった。
三回1死後、オコエが右前打で出塁し、さらに茂木の初球に二盗を試みた。田村が二塁へ悪送球して三進。茂木は四球で一、三塁のピンチを迎えた。
だが、銀次と島内を連続で空振り三振に切った。
「早い回で点を取ってもらって、取られてはと。あそこを乗り切って波に乗れた」
完封が見えた八回1死一、三塁から銀次の二ゴロでついに1点を失った。それでも続く島内を「ここで終わってもいいと思って腕を振った」と二ゴロに抑えた。
この踏ん張りにナインが応えた。
九回1死から田村の四球を足場に2死二塁とすると、それまで4打席無安打の加藤が左翼越えの適時二塁打を放った。再び2点差。
加藤は笑顔を浮かべて言った。「二木がキャッチボールをする姿が見えたので行く気だなと。意地でも点を取ってやろうと」
九回は英二コーチの「行くか?」の問いに、「行きます」と答えてのマウンドだった。
「(これまで)早い回で替わったこともあったし、自分の中でもっと投げられる試合もあった。中継ぎの方々に迷惑をかけてきたので、きょうは長く投げようと決めていた」
チーム事情を考えると、ここはお返しをする番だった。
5月27日のオリックス戦。九回2死まで無得点に抑えて、プロ初完封目前だったが、T-岡田に痛恨の1発を食らった。
この日も完封勝利が目の前にちらつき出したところで1失点。
「まだまだです」
あくまでも謙虚に前を見据えて、それでいて幾つもの重圧をはねのけてやることをやった。
二木にとって、この夜の1勝は今後への転機となりそうだ。
そして、投げ合った18歳のルーキー藤平も6回を被安打「4」で「5」奪三振と好投したが、中村と角中にタイムリーを浴びて、「2」失点の敗戦投手となった。
この2敗目も今後への大きな糧になるに違いない。