40歳東大生・伊藤、夢の“神宮デビュー”「18歳で来たかったので大遅刻ですね」

 「東京六大学野球・フレッシュリーグ、慶大15-4東大」(15日、神宮球場)

 医師免許を持つ異色のオールドルーキーが“神宮デビュー”を果たした。東大の伊藤一志投手(3年・東海)が15日、東京六大学野球新人戦「フレッシュリーグ」の慶大戦に先発。1回、打者9人に36球を投げて、2安打3四球4失点(自責点は1)。中学、高校では野球経験がなく、ナックルを武器とする不惑右腕は「本当の神宮デビューはリーグ戦」と次なるステージへの挑戦を誓った。

 憧れ続けた神宮のマウンドに上がった。不惑の東大生・伊藤が午前8時開始のフレッシュリーグ・慶大戦に先発。1イニングだけだったが、ナックルを武器に36球で2安打4失点。ホロ苦デビューに「不安半分、緊張半分でした。18歳で来たかったので大遅刻ですね」と照れ笑いした。

 愛知・東海高2年の時、ニュース番組で東大が法大から勝ち点を挙げたのを見て、東大でプレーしたいと思った。何度も受験に落ち、夢破れて首都圏の病院で麻酔医をしていたが再チャレンジを決意。東大文科3類に入学し、退職して夢に向かったが、神宮への道のりは険しかった。

 打撃投手をしていた昨夏、主力選手に何度も死球を当ててイップス気味になったが、浜田一志監督(52)から勧められてナックルを習得。チームに迷惑をかけないように、自費で“マイボール”200球を購入し、ネットピッチを続けた。「ナックルになっていないけど、これしか道はない」と伊藤。神宮での初球は91キロのナックルでストライクだった。

 高校での野球経験はなく、日本医大時代に初めて硬式野球に取り組んだ40歳の直球は最速108キロ。ナックルも思うように操れず、20歳そこそこの選手に完敗を喫した。

 「今日の内容では次があるかどうか分からないが、本当の神宮の舞台はリーグ戦。本当に立った感じはしていない」。さらなる夢を語った努力の不惑右腕を、浜田監督は「チャンスはあると思う。ナックルを磨いて勝負して欲しい」とねぎらった。

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