不来方の背番号「10」斉藤、万雷の拍手背に代打

 「選抜高校野球・1回戦、静岡12-3不来方」(24日、甲子園球場)

 21世紀枠として選手10人で出場の不来方(岩手)の初戦突破はならなかった。しかし、静岡の好左腕・池谷蒼大投手(3年)から初回に先制点を奪うなど、はつらつとしたプレーで球場を沸かせた。

 球場の歓声が最高潮に達したのは九回、1死走者なしの場面で背番号「10」の斉藤圭汰内野手(2年)が代打でコールされた場面だった。

 拍手と歓声を背に打席へ。ファウルで4球粘るなど、フルカウントからの9球目をたたいたが中飛に倒れた。結局、この回は三者凡退で試合が終わり「最後、もっと速くスイングしようと思ったが、バットの付け根に当たってフライになってしまった。緊張した。心残りです」と悔しがった。しかし、ファウルを打つたびに歓声が上がり、球場の空気を独り占めにした。

 ケガ人が出れば斉藤が唯一の交代要員となってしまうため、試合出場のタイミングは限られてしまう。それでも攻撃の時は一塁ランナーコーチ、攻守交代の際はグラブ渡し、守備では伝令とフル稼働した。

 代打の準備指令が出たのは八回表。グラウンドに立った感想を「ネット裏の人や不来方の応援席から声をかけて下さってうれしかった」と表現した。試合後、アルプススタンドへのあいさつでは1人、最後まで頭を下げていた。「あそこで(安打を)打っていればその後、何か起こっていたかも知れない。申し訳ない気持ちで」と、その理由を明かした。

 小山健人監督(30)は斉藤について「どこかで出そうと思っていた。うちはレギュラーが決まっているわけではない。斉藤も冬の間、しっかりやってきた選手」と“10人目のレギュラー”をねぎらった。

 斉藤はこの日の戦いを「エラーをしても気合が入っていた」と振り返った。「エラーをしても送球が崩れても、引きずらない。仲がいいし、練習もしっかりできる。(少人数は)デメリットもあるがメリットもたくさんある」とチームを評する。

 岩手県内の学校に戻れば雪解けの季節。4月には新入部員も入り、岩手大会の新人戦も始まる。「春の大会では、この凡打を引きずらず頑張りたい」と、レギュラー争いへの決意を新たにした。

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