鈴木尚広氏、足のスペシャリストが指導者第一歩 呼吸法など伝授

 昨季限りで現役を引退した元巨人の鈴木尚広氏(38)が14日、川崎市内で行われた全日本大学野球連盟などが主催する「冬期特別トレーニング」に講師として参加。プロ注目の慶大・岩見ら大学生を相手に、自身が積み重ねてきたトレーニング方法を伝授した。

 現役時代は「足のスペシャリスト」として、通算228盗塁をマーク。代走の切り札として緊迫した場面での出場も多かった鈴木氏は、まず「呼吸法」から伝授した。「お客さんも入ると緊張も増し、呼吸がしづらくなり、動きが固まりやすくなる。しっかり呼吸を入れることでリラックス効果も出ます。緊張の度合いを下げることが大事」。本格的な指導は初経験だったが、鈴木氏らしいメニューでトレーニングを開始した。

 プロ入りしてしばらくは故障が多かった経験から、「けがをしない体作り」を重視。「体をどうしたらうまく使えるか。(個々の)パフォーマンスを発揮できる方法を伝えたつもり」。意識する筋肉の名称を細かく伝えながら、独特なストレッチや体幹トレーニングを繰り返した。

 見た目以上にハードなトレーニングを軽々とこなす鈴木氏に対し、大学生たちは悲鳴を上げる場面も。鈴木氏は「本人がどう感じるか。(トレーニング方法の)引き出しをひとつでもふたつでも増やして欲しい。僕は、それを提供する側ですから」と語った。

 昨年、ファンに惜しまれながら現役を引退。将来は指導者としての活躍を期待する声も多い。その第一歩を踏み出し、「自分がやってきたことを言葉で伝えるのは初めて。学生もそうだろうし、僕自身もすごく勉強になった」と、充実の笑みを浮かべた。

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