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韓国・金寅植監督、侍JAPANを語る「もし大谷が投げ続けていたら負けていた」

 来年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で韓国代表を率いる金寅植監督(69)が、デイリースポーツのインタビューに応じた。06・09年大会でも代表監督を務め、昨年11月のプレミア12では韓国を初代王者に導いた名将が、ライバル・日本、そして自身の監督観について語った。

 -11月12、13日の侍ジャパン強化試合(オランダ戦)を視察したが、現在の日本の戦力をどう見たか。

 「昨年のプレミア12のときと違いは感じなかったです。野手では秋山、坂本、菊池らは印象に残りました」

 -昨年のプレミア12準決勝では日本に逆転で勝利を収めた。

 「大谷選手がずっと投げ続けていれば、韓国打線も打つことはできなかったです。大谷選手が(八回から)代わって、選手たちもいけると思い、逆転につながったと思います」

 -韓国は7人の投手継投で日本を抑えた。

 「特に最終回の2人の打者を抑えることが重要でした。(1死無走者で)筒香選手にはアンダースローの鄭大ヒョンが投げていましたが、引っ張り中心の打撃をすると思っていました。外角中心の攻めならば引っ張られても大丈夫だと。最後の中村剛選手は右打者でしたが、左投手の李賢承(イ・ヒョンスン)を投入しました。中村選手はスライダーなどのボール球にも手を出してくると思ったからです。継投に関しては、たまたま考えが当たっただけだと思います」

 -ただ、セオリーとは違った起用法だが。

 「常識を変えようと考えました。筒香選手のようなタイプはアンダースローの投手が得意とも思いましたが、あえて続投させたのがはまりましたね。そういう奇手は、初めて対戦するときは通用することが多いものです。奇をてらった発想は、逆にリーグ戦などで何度も戦っている相手には通用しないですから」

 -日本選手の特徴をつかんだ上での継投か。

 「李大浩(イ・デホ)らが日本で活躍をしていたときに韓国でも日本の試合を中継していたので、よく見ていたし、研究もしていました。ただデータも重要ですが、自分の感覚というのも重要です。感覚とデータ。それぞれの状況に応じて必要だと考えています」

 -その発想はどうやって生まれるのか。

 「サンバンウルの監督時代は、大事な試合で負けるなど戦術的に弱い部分がありました。そこから監督としてどうするか、いろいろと考えるようになりましたね。その中でアイデアが浮かぶ。そうしてキャリアを積み重ねました。ペナントレースの対戦が15勝1敗であっても、ポストシーズンで1敗することもある。その1敗が重要と考えないといけない。戦略が強くても勝てるとは限らない。経験がものをいってくる、そこから見えてくるものもあると思います」

 -代表監督は一朝一夕ではいかない。

 「経験がある方がいいと思います。選手の能力が高ければリーグ戦は勝てる。監督が少し失敗してもカバーできるだけの戦力があれば勝てる。ただ、短期決戦などになると、失敗がそのまま結果に表れてしまう。それなりにキャリアがあった監督の方が良いのではないでしょうか」

 -小久保監督はプレミア12が初の国際試合での采配だった。

 「ただ、あの敗戦は小久保監督の采配ミスではないと感じています。監督の経験を積んでいく上でのプロセスです。準決勝までは中継ぎ、抑えにほぼ同じメンバーを起用して成功していました。だから韓国戦でも同じ戦術で臨んだ。そこで負けたというだけです」

 -1敗が小久保監督の大きな経験になる。

 「いい経験になると思います。次にまた対戦するときは違うアイデアを持ってくる。そうしてずっと考えていくことが発展、成長につながるのです。重要なのは考えること。数多く負けてみないと分からないし、数多く勝ってみないと分からない。監督というのは、そういうものです」

 -代表監督としての重圧や面白さは。

 「代表監督を務めること自体が重圧ですよ。いつも選手が負傷しないかなどを考えないといけない。私は14年間、代表監督をやっていて、それなりの成績を残すことができたので韓国のファンも代表のレベルを高く評価してくれています。それもすごい重圧です。面白みは全然ないですよ(笑)。常に心配ばかりしていますから。昨年は韓国が勝ちましたが、自分としては日本より韓国の方がかなり下だと思っています。できるだけ日本とは戦いたくないと、実は思っているんです」

 -06年のWBC前には『日本は代表チームを2つ3つ作ることができるが韓国は1つしか作れない』と話していた。10年たってその差はどうなったか。

 「やはり差があると感じます。特に投手力と守備力で明確な差があるのは事実。日本に勝つときは運が良かったと思っていますよ」

 -打者・大谷についてはどう感じている。

 「大谷選手は打者だけで出た方がいいです。投手ではなく打者の方が、韓国にとってはいいですね(笑)」

 -来年のWBCへ向けて韓国代表の戦い方のビジョンは。

 「1次ラウンドを通過すれば、日本で戦うことになりますが、日本の投手は非常に高いレベルにあります。韓国にとって厳しい戦いになるでしょう。韓国チームは攻撃陣にメジャーリーガーが多い。李大浩、秋信守(チュ・シンス)、姜正浩(カン・ジョンホ)らが日本投手の速球を打ち返し、得点を挙げるというのが理想ですね」

 -賭博罪で起訴された呉昇桓(オ・スンファン)の代表入りは。

 「現状では非常に難しい。韓国では賭博などに厳しい目を持っています。呉昇桓はいい選手ですし、結果も残してくれますが、世論もマスコミも今回の一件を良くは見ていない。(世論が変わることも)難しいでしょう」

 -韓国にとってWBCで優勝する意味は。

 「(国内への)影響は大きいと思います。WBCや五輪で好成績を残せば、野球を始める子供たちも増える。韓国内のプロスポーツでは、野球は最も成功していると思いますが、もっとファンも増えるし競技人口も増えてくると考えています」

 ◆金寅植(きむ・いんしく) 1947年5月1日生まれ、69歳。ソウル市出身。プロ野球では91年のサンバンウル・レイダースを皮切りに、斗山ベアーズ、ハンファ・イーグルスで監督を歴任して韓国シリーズを2度制覇。02年釜山アジア大会で初の代表監督となり金メダルを獲得。06、09年のWBC、15年のプレミア12で監督を務めた。韓国球界の名将として「国民監督」と呼ばれている。176センチ、78キロ。

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