楽天・茂木“打低投高”乗り越え、なるか新人王

 ペナントレースは大詰めを迎え、タイトル争いは佳境を迎えている。中でも、注目を集めているのが、新人王の行方。有力候補の筆頭は、受賞すれば18年ぶりに野手での選出となる楽天のドラフト3位ルーキー・茂木栄五郎内野手(22)だ。

 長らく投手からの新人王輩出が続いてきた。野手での獲得は、98年の小関(西武)が最後。その小関も高卒4年目での受賞であり、入団1年目の純粋な新人野手に限っていえば、97年の小坂(ロッテ)が最後だ。

 “打低投高”の理由について、現役時代にプロ2年目で投手から野手に転向した楽天・仁村ヘッドコーチは、こう分析する。「どうしても、投手の方が有利にはなる。投手は、個人の数字がそのままチームの勝敗に直結するから。特に2桁勝利を挙げたら、分かりやすい指標になるという側面がある」。また、例えば先発投手ならローテ入りすれば規定投球回数に達するが、野手は日々出場し年間を通しフルで活躍し続けなければならない。

 現在、パ・リーグの新人で唯一、規定打席に到達している茂木。シーズン終了時まで規定打席を維持できれば、球団の新人野手としては、07年の渡辺直以来9年ぶりとなるが、入団1年目のルーキーが年間を通しフル出場するのは至難の業だ。

 茂木が尊敬する早大の先輩、阪神・鳥谷ですら、新人イヤーは規定打席には到達できなかった。20年近くもの間、野手から新人王が輩出されていないことと、無関係ではない。

 しかも、茂木の場合は、アマ時代には三塁手が本職で、ほとんど経験のなかった遊撃手の定位置を開幕から奪った。非凡な打撃センスを生かすため、梨田監督がキャンプ当初からレギュラーが確定していなかった遊撃のポジションに思い切って抜てき。その起用に茂木は応え、新人ながら、一人前のプロとして求められる合格水準をクリアしている。

 しかも、遊撃手は当然、守備範囲の広さによる身体への負担は、他の野手に比べ大きい。プロ入り後に遊撃手に転向したことを思えばなおさらだ。6月下旬に試合中の不運な負傷によって約1カ月半、戦線離脱を余儀なくされたが、8月上旬に1軍復帰すると、同月中には規定打席に戻した。もちろん、打率や打点、本塁打なども重要だが、野手が年間を通しフルで1軍に帯同し試合に出場することは、立派な指標のひとつ。非常に価値ある数字といえる。

 現在、新人王を争うのは、現在9勝をマークしている日本ハムの3年目右腕・高梨。茂木自身、「高梨さんで決まりだと思っています。自分は意識はしない」と我関せずのスタンスを貫くが、入団1年目の新人野手として、十分に誇れる成績だ。残り試合は少ないが、このまま故障なくスタメン出場を重ねていけば、一生に1度のタイトルへグッと近づくはずだ。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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