日本ハム増井と伝説リリーバーとの約束

 自分のお気に入りの歌というのは、自然と覚えるものである。野球でいうとマウンドに上がる時や、打席に立つ時の登場曲。プロ野球観戦後に、家路へと向かう時、試合を回想するとともに、それぞれの選手のテーマソングが頭の中で流れ続けることがある。そういう経験は誰しもあるのではなかろうか。

 今季から自身の登場曲を変更した選手がいる。日本ハムの抑えを務める増井浩俊投手。米・アリゾナキャンプでパドレスの施設を使用した縁で対面したメジャー歴代2位の601セーブの記録を持つトレバー・ホフマン氏(48)が現役時代、登場曲に使っていたオーストラリアのロックバンドAC/DCの「Hells Bells」を使用している。

 キャンプ中、増井はホフマンに同曲の使用許可をお願いした。快く了解を得て、今季使用する運びとなり、「曲にふさわしい結果を残さないといけない」と気を引き締めている。

 テーマ曲は主催試合限定だが、増井が初めてこの曲で登場したのは4月1日、自身の地元の静岡・草薙球場だった。1点リードの八回2死。増井の名前が告げられると、曲のイントロダクションである「ゴーン、ゴーン」という鐘の音がなり、マウンドに駆け上がっていった。

 大型ビジョンには、「TREVOR TIME(トレバー・タイム)」ならぬ「MASUI TIME」と表示され、地元の球場がドッと沸いた。ただ、気合が入り過ぎたのか、試合は暴投で同点とされ、セーブはつかなかったが「終わったことを考えても仕方がないので、ポジティブに考えてます。これでいい方向に向かえれば」と前向きに捉えていた。

 キャンプ中は伝説のストッパーから抑えの心構えや、体のケアについて、いろいろ質問攻めにしていた。「『肩のケアはしっかりしておかないといけないよ』と言われました。ああいう方に言われると重みが違うので、しっかりやっていきたいです。ホフマンさんも僕の成績を気にしているということなんで、しっかり頑張らないといけないです」。

 そんな増井がホフマン氏と交わした約束は昨年マークした39セーブを上回る自己新記録。「ゴーン、ゴーン」の鐘の音とともにマウンドに上がり、どれほどの「MASUI TIME」で火消しを成し遂げるか。今や侍ジャパンのリリーバーとしても名が上がる男は来春のキャンプでホフマン氏に良き報告ができるよう黙々とセーブ数を積み重ねていくと誓う。(デイリースポーツ・水足丈夫)

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