大阪桐蔭“裏金逆風”はねのけ8強入り
「選抜高校野球・2回戦、大阪桐蔭4-1八戸学院光星」(26日、甲子園)
夏春連覇を目指す大阪桐蔭が、八戸学院光星(青森)を下し、8強一番乗りを決めた。2012年春夏決勝のリベンジを目指した相手を退け、西谷浩一監督(45)は甲子園大会通算勝利数で歴代9位タイとなる35勝目。勝率ではPL学園を率いた中村順司氏を抜いて、トップに浮上した。
小さなエースがピンチを切り抜けるたびに、聖地が沸いた。惜しみない拍手が小さな背番号1に降り注いだ。周囲の“雑音”を消し、苦しい展開でも耐えきった大阪桐蔭のエース・田中誠也投手(3年)。西谷監督は「辛抱して、辛抱して投げてくれた」と称賛を惜しまない。
スコア以上に流れは悪かった。初回に味方打線が先制。だが相手エースの中川に二回から六回まで5イニング連続3者凡退に抑えられた。その間、丁寧にボールを低めに集めて追撃を許さなかった田中。四球や失策で出塁させても二塁すら踏ませなかった。
八回こそ味方の失策が絡み、昨夏から続いた聖地での連続イニング無失点は27でストップ。それでも崩れる気配を見せず「低めに丁寧にストライク先行で投げることができた」とお立ち台で納得の表情を浮かべる。
3年前に春夏連覇を達成した藤浪(現阪神)のような体格はない。140キロ超の直球は投げられない。それでも全幅の信頼を寄せてエースに指名した西谷監督は「一番はゲームをつくる能力。どんな状況でも低めに集める制球力、精神力がある」と明かす。
崖っぷちに立たされても苦境に陥っても折れない強い心-。前夜、西谷監督は学校側の裏金問題発覚を受けて選手に語りかけた。「いまこういう状況になっている。球場の雰囲気はいつもと違うかもしれない。それを含めて乗り越えないといけない」。周囲の目、逆風をものともせず押し切った横綱相撲。夏の王者が敗れる要素は見当たらない。