巨人・阿部慎之助捕手（３５）が４日、都内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、９０００万減の５億１０００万円でサインした。リーグ３連覇は果たしたが、ＣＳファイナルＳで阪神に敗れ、個人成績でも低迷。０３年以来、１１年ぶり２度目の減俸となった。

　久しぶりに味わう屈辱だった。リーグ３連覇を果たしながら、プロ１４年目で２度目の減俸。会見場が重苦しい空気に包まれるなか、阿部は「（減額は）仕方ない。ダメだったら下がる、良かったら上がるといつも言っている」と淡々と語った。

　苦しみ続けた１年だった。キャンプで発症した首痛の影響もあり、開幕から不調。打撃フォームを改良しながら復調への手がかりを模索したが、最後まで調子は安定せず。ＣＳファイナルＳでは、阿部自身の不振も響いて阪神に惨敗。日本シリーズ進出も逃した。

　「もう、振り返りたくないような感じ。チームとしても悔しい思いをしたし、個人的にも最後まで数字が伸びなかった。体調面もそうですし、打撃で貢献できなかった」。ダウン査定はけがに苦しみ、３００万減となった０３年オフ以来。覚悟していたとはいえ、自身最大の下がり幅に表情はさえなかった。

　来季は捕手から一塁手に転向し、より打撃に集中できる環境になる。個人的な目標は、前回減俸を味わった翌０４年にマークした３割３０本。「給料が上がることを考えて野球はやらないけど、数字を残して来年契約してもらえるようにやるだけ」。屈辱をバネに、勝負のシーズンに挑む。