阪神・小谷野打撃チーフコーチ “メンタルコーチ”としても「押しつけない」指導を パニック障害の経験生かす

 阪神を2年ぶりのリーグ優勝へ導いた藤川監督を支えた首脳陣も、さまざまな思いを抱いてシーズンを戦った。コーチが今季を振り返る「2年ぶりV奪還 コーチに聞く」。小谷野栄一打撃チーフコーチ(44)は、虎のクリーンアップがセ・リーグで初めて打点部門のトップ3を独占した要因を語った。打撃面だけでなく、パニック障害の経験を生かしてメンタル面からも選手を支えた今季を振り返った。

 今季の優勝に欠かせない存在だ。4日にセ・リーグの全日程が終了し、虎のクリーンアップがセ・リーグ初となる打点部門でトップ3を独占。小谷野打撃チーフコーチはその要因をこう話す。

 「個人のタイプがあるので、こうやったら正解っていうことはない。自分が相手にどう思われているか客観視できる、自分を見つめるのが上手だからこそ打点を挙げられている」

 佐藤輝は102打点、森下は89打点、大山は75打点。小谷野コーチも2010年の日本ハム時代に打点王のタイトルを獲得したからこそ分かる、圧倒的な数字だ。「自分がこうやって打ってやろうと思ってやってる人は、『こうやって打ってくるな』って(相手に)バレバレになってしまう」と客観的な自己分析の重要性を強調した。

 ただ、功績は3人の力だけではないと言う。「前のランナー、野手たちが出てくれたおかげで積み上げていけるもの」。周囲の野手への感謝を持ちつつ、「自分磨きをしていってもらったらいいかな」とうなずいた。

 自分で自分を知ってもらうために「押しつけない」指導を大切にしている。「そういった技術を持てると、もっと打席を多く与えられる選手になるよ」といったニュアンスでシンプルに伝える。重圧を感じさせない言葉選びで、選手らに考えるきっかけを与える。

 数字にとらわれないのも“小谷野流”だ。「成績を見てしまうとその数字で選手の価値が決まってしまう(ように思う)人間が多い」。打撃コーチとして重きを置くのは過程。「ここまでの継続、準備があるから覚悟を持ってプレーしているんだなと。それがあるからこそ結果を出している」と思いを口にした。

 指導には自身の経験が大きく生かされている。小谷野コーチは06年の日本ハム在籍中に嘔吐(おうと)やめまいを発症し、パニック障害の診断を受けた。「診断されていないだけで試合前に嘔吐する選手ってたくさんいるんでね。それだけ自分と常に全力で向き合っている表れだと思う」と誰よりも打席に立つプレッシャーを理解している。

 選手らの悩みに対して、「絶対に上から目線に聞こえないように、背中を押せるような言葉選びを。意識は常日頃しています」。ささいな心遣いで打撃はもちろん、“メンタルコーチ”としてもチームを支えている。

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