阪神・高寺V撃 右手一本巧みに“2点打” ガッツポーズ「思わず出ちゃいました」

 「巨人1-3阪神」(17日、東京ドーム)

 打球が右前で弾むと、左手を突き上げた。敵失も重なって三塁に到達した阪神・高寺は、笑顔で雄たけびを上げた。

 「追い込まれていたので、食らいつくしかなかった。しっかり対応できました」

 均衡を破る一打だった。0-0の四回2死一、三塁のチャンス。追い込まれながらも赤星のフォークに反応した。最後は右手一本。手首を返さなかったことで打球は切れず、2走者が生還した。打球が抜けた瞬間の力強いガッツポーズについては「2アウトで得点圏だったので、打ちたいなと思っていたら打てたので、思わず出ちゃいました」と無邪気に笑った。

 特別な気持ちになる夏だ。15日、終戦から80年を迎えた。学生時代から歴史に興味があるという高寺は、特攻隊をテーマにした映画を見て涙を流したという。

 自分と年の近い若者が、国のために次々と命を落としていった事実。今、大好きな野球ができていることの幸せを改めて感じた。「今年のオフは鹿児島に行きたいです。当時のもの(遺書や宿舎、飛行機)が、そのまま残ったりしてるんで、見てみたいんです」。鹿児島県の知覧にある特攻平和会館への来訪を予定。野球以外の学びを深めたいそうだ。

 8月は打率・379と好調。1学年下の中川、前川らと争う左翼のポジション奪取へ、猛アピールを続ける。ただ、藤川監督は「満足できない状況ではあります。日々良かったり、悪かったりと、若者だなという感じがしますから、今は修行中じゃないですか」とピシャリ。高寺を含めたレギュラー争いは、まだまだ熾烈(しれつ)を極めそうだ。

 それでもチームに勢いを与える活躍で連勝に貢献。「しっかり続けていけるように、頑張っていきたい」。1試合でも、1打席でも多く出場機会を得るため、とにかく結果を残し続ける。

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