阪神・豊田は代打でも早いカウントから仕掛けられる 狩野恵輔氏「少ないチャンスものにし、定位置つかんでほしい」
昨季まで阪神の投手コーチを務めた福原忍氏(48)と、グラウンドに足しげく通う狩野恵輔氏(42)のデイリースポーツ評論家2人による新企画「注目の若虎」。第3回は狩野氏が豊田寛外野手(28)を取り上げる。
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個人的な意見ですが、僕は豊田選手はどんどんスタメンで使ってもらいたいと思っています。
現状ではDHがなければ、代打が中心です。「代打は大変だね」とよく言われますが、やはり毎日、試合に出るレギュラーの方が大変です。代打は補欠なので。豊田選手自身も思っていると思いますが、「スタメンで試合に出る」という強い意気込みは忘れずにプレーしてほしいですね。それを実現できるだけの力は見せています。
豊田選手の打撃を見ていると、シンプルに考えているように見えます。僕も現役時代に経験がありますが、先発の機会が少ない選手は、どうしても「いいところを見せたい」、「結果を出さないといけない」という考え方になりがちです。でも、豊田選手は打席でも落ち着いていて、ベテランのように堂々としているのが印象的です。
それがスイングにも現れていますね。代打は好投手との対戦が多いですが、豊田選手は後手後手になっていません。それを象徴するように、代打でも早いカウントから仕掛けられています。
5月22日・巨人戦の延長十一回2死一、二塁でマルティネス投手から放った遊撃内野安打は、初球の内角への154キロ直球を打ち返しました。5月27日・DeNA戦の八回1死で、バウアー投手から打った中前打は1ボールからの外角寄りスライダー。7日・オリックス戦の六回無死は、宮城投手に対して1ストライクからの外角直球を捉えて右前に運んでいます。
来た球に逆らわず、逆方向にもセンターにも打ち返せています。2軍でやってきたことが自信となって、頭の中を整理できているから、早いカウントからでもバットが出るのだと思います。
豊田選手は佐藤輝選手のような爆発的な長打力はありませんが、バッティングでは勝負強く、結果も出しています。外野の守備に問題はありませんし、スタメンでも勝利に貢献してくれる選手だと思っています。
今後の阪神はDHのない試合が続きます。現状では中堅・近本選手、右翼・佐藤輝選手、左翼・森下選手と外野が決まっており、豊田選手に与えられるチャンスは減るかもしれません。
ただ、長いシーズンでは佐藤輝選手が三塁に戻って、外野の1枠があく可能性もあります。少ないチャンスをモノにして、定位置をつかんでほしいですね。
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