阪神・前川“チーム甲子園1号”左翼弾 昨季ゼロの逆方向へ「今までにない感覚」新フォーム手応え OP戦打率・500

 「オープン戦、阪神4-7中日」(5日、甲子園球場)

 勢いが止まらない。阪神・前川右京外野手(21)が、今年の甲子園初戦となった中日とのオープン戦で、二回に“チーム甲子園1号”となる一発を左翼席に運んだ。その後も二塁打、中前打と続け、あと三塁打でサイクル安打という3打数3安打の活躍で、オープン戦打率も・500とした。チームは勝利を逃したものの、21歳の活躍に聖地が大いに沸いた。

 前川のバットから軽やかに浮いた打球は、左翼ポールの少し右側に伸びていく。客席からの「いけー!」という声援に押されるかのようにスタンドへ飛び込んだ。暗い天候の中、明るい大歓声が響いた甲子園。表情を引き締めたままダイヤモンドを一周し、ナインらに出迎えられると、ようやく頬を緩めた。

 「今までにない感覚。ああいう感触をつかめるように今後打っていけたら数字ももっと上がる」

 二回だ。先頭で打席に立ち、カウント1-1から外角高めに浮いた直球を仕留めた。22日のオープン戦・楽天戦(金武)以来となる対外試合3発目は、“チーム甲子園1号”に。侍ジャパンに選出された大山と佐藤輝が不在のため、「5番・左翼」としてクリーンアップを任された一戦。左翼の最有力候補として名前が挙がる中、指揮官の期待に最高の形で応えるアーチとなった。

 昨季放った4本塁打は全て右方向。「珍しい感触でした」と振り返った逆方向への一発は、フォーム改善の成果だった。以前までは重心を低く構えていたが、キャンプ途中からは周囲の助言を受けて姿勢を真っすぐに「フラットに立つ」という意識を持ち「肩の力を抜いて、なるべくトップに初めからもっていく」という形に修正。「ボールの見え方がいい」と手応えを実感した。

 三回2死では、125キロの緩い変化球を右翼線に運び二塁打を記録。五回先頭では粘って9球目を中前打とし、3打数3安打でオープン戦は打率・500となった。それでも「(2打席目は)2球目の直球を打たないといけなかった。ホームランを打った球をもう一度振りにいかないと」と反省。フォームも「まだ完成形とは思っていない」と向上心たっぷりでさらなる進化を目指す。

 藤川監督は「サイクル安打を止めてしまいましたけど、私が(笑)」と五回の代走交代を冗談交じりに笑いながら、「まだ準備という段階で、非常にいい」と絶賛。中前に運んだ3打席目に対しては「彼に聞いたら『詰まらせた』と。詰まらせながら打ち込んだという打ち方で。底知れない」と感嘆した。

 春季キャンプ直前まで94キロあった体重を91キロまで落とし、ケガのない体作りのために試行錯誤する前川。「地道なことをやって、それが生きている」。シーズンに向けて状態を上げていく。

 ◆前川の左方向本塁打メモ 前川は22年6月9日のウエスタン・オリックス戦(鳴尾浜)、四回1死一塁の場面で左翼フェンス奥の防球ネットを直撃する逆方向への“プロ1号”を放った。9月17日のソフトバンク戦(鳴尾浜)でも、左中間へアーチをたたき込んでいる。1軍に定着した24年は4本の本塁打を記録したが、全て右翼か右中間へのホームランだった。

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