阪神・中野 執念V撃 21年以来の「8番」起用でマルチ安打 大シャッフル新打線で連敗止めた

 「中日1-2阪神」(14日、バンテリンドーム)

 停滞が続く阪神打線が大幅に組み替えられた。1、2番の“チカナカ”が解体され、昨季全試合で4番に座った大山が5番に入るなど大シャッフルが敢行された中、ポイントゲッターとなったのが8番に下がった中野拓夢内野手(27)。三回に同点につながる左前打を放ち、七回には決勝の右前適時打で、チームの連敗を3で止めた。16日からは甲子園で巨人、中日相手に6連戦。新打線が逆襲の呼び水となるか。

 試合前のスタメン発表で球場がどよめいた。1番・木浪、2番・梅野。異様な空気が漂い始める。3番・近本、4番・佐藤輝。昨季は全試合で4番の大山が2年ぶりに5番へ座った。停滞が続く打線の大幅組み替え。中野の8番起用も新人時代の21年以来だった。

 それでも、ナインに戸惑いはなかった。打のヒーローとなった中野もその一人。「やるべきことは個人個人で変わらない」。試合に入れば、平常心。その結果、虎の選手会長がポイントゲッターになった。

 決着は一瞬だった。同点の七回2死二塁。梅津の初球フォークを振り抜く。会心の当たりではなかった。フラフラと打球は舞い上がる。打った直後は竜党が歓喜の声を上げた。しかし、白球は二塁後方、中堅と右翼の間にポトリ。その瞬間に左翼席のボルテージが最高潮に達した。

 勝ったのは、中野の執念。「何とか点を取ってあげたい気持ちがあった」。チームを、才木を勝たせたい。熱い思いが届いた。一塁上ではほほ笑みながら、しびれた手をうれしそうに振る。総立ちの三塁ベンチへ視線を送った。

 三回1死でも左前打で好機を演出し、梅野の同点打でホームイン。2番だろうが、8番だろうが関係ない。「自分のやるべきことは変わらない。気分転換になった」。今できることを遂行した。

 10打席連続無安打で迎えた一戦。オープン戦に比べれば、どうってことない。34打席連続無安打もあった。人生初の5打席連続三振もあった。「焦りしかなかったですね。上がってくるだろうと思ってても、上がってこない。不安もありました」。バットに当てることができない、どん底の状態。「また打席に立たなきゃいけない。寝られないというより、寝たくなかった」と次の日を迎えるのが嫌になった。

 だからこそ、もう恐れるものはない。「あの経験をしてる分、怖いものはない。いい経験でしたね」。自分のスタイルとは何か。好調時は球を呼び込み、内側をたたくことができる。原点に立ち返って、本来の打撃を取り戻した。「もう誰も覚えてないんじゃないかな?」。今は、あの屈辱を笑えるようになった。

 チームは3連敗でストップ。16日からは甲子園での6連戦が始まる。「接戦をものにできて、雰囲気も良くなってくる。打撃陣が投手を楽に投げさせてあげられる展開を作っていきたい」。シン・猛虎打線での大きな1勝。快進撃の始まりはここからだ。

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