「ＳＭＢＣ日本シリーズ２０２３、阪神タイガース６－２オリックス・バファローズ」（２日、甲子園球場）

　阪神が八回に一挙６得点のビッグイニングを作り、大逆転勝利で３８年ぶりの日本一へ王手をかけた。八回、無死二塁から好機を拡大する左前打を放った糸原健斗内野手。岡田監督が「糸原のアレが大きかった」と大絶賛した一打が、逆転への道筋をつけた。

　八回、先頭の木浪が内野安打と敵失で無死二塁と起点を作った。ここで代打としてコールされた糸原。「木浪が汚いヒットを打ったので、自分も汚いヒット打ってつなごうと」。山崎颯の直球に詰まりながらも左前に落とした。無死一、三塁。代走を送られてベンチに戻ると、興奮気味のチームメートから笑顔で迎えられた。

　直後に近本が１点差に迫るタイムリーを放ち、森下が逆転の２点三塁打。さらに大山、坂本とつながり「上位に回せば２点差はなんとかなる。あとのバッターが続いてくれて得点になってよかった」と糸原は振り返る。

　前夜の第４戦でも同点に追いつかれた直後の七回、佐藤輝に代わって三塁の守備位置に入った。なおも勝ち越しのピンチで安達の三ゴロを冷静に処理してバックホーム。オリックスにリードを与えず、直後の打席ではしぶとく内野安打を放って出塁。チームのサヨナラ勝ちにしっかりと貢献していた。

　昨年までは二塁でレギュラー格も、岡田監督の二塁・中野のコンバートにより、働き場所は代打が中心となった。それでも準備を怠らず、自らの役割を全うした。それだけでなく助っ人・ミエセスの良き相談相手となるなど、出場機会は減ってもチームに欠かせない存在となっている。

　「きょう取れたのは大きい。しっかり全員野球で一丸となって勝ちたい」と京セラドームでの第６戦を見据えた糸原。スタメンで出る選手だけではない。どんな状況でも役割を果たす背番号３３がいるからこそ、このチームは強い。