85年阪神V戦士 古巣に叱咤「優勝後は少し緩んでいる」 岡田監督同期入団の北村照文さん「アイツなら」

 球団OBが古巣・阪神の日本一への期待を語る「先達からの伝言」(随時掲載)。今回は阪神唯一の日本シリーズ制覇を達成した1985年メンバーの北村照文さん(66)が登場する。のちの新庄、近本と同じセンターで背番号5。強肩好守で鳴らした守備の達人が、同期入団の岡田監督への期待、頂点を目指すチームへの叱咤(しった)を込めた思いを語った。

 この春、沖縄キャンプを訪れた北村は古巣への大きな期待を抱いたという。

 「一目見てやってくれそうな気がしたよ。守備面を重視して強化するところから始めて、締まった練習もしていた。何より若いチームになって、新鮮さを感じたんだ。アイツならもっとまとめて、いい戦いをするんじゃないかと思ったよ」

 「アイツ」と呼ぶ岡田監督とは同期入団(北村が1学年上)。ルーキーイヤーの1980年アリゾナ春季キャンプではいきなり、その“存在”に悩まされた。「ホテルも同部屋で練習でもいつもコンビ。あっちは六大学の英雄だよ。マスコミの数もすごかった。比べられるし、常に見られている感じで気が抜けなかった」。トスバッティングではいい球を上げようと意識するあまり、イップスにもなったと明かす。

 当時は自分のことで精いっぱいだったこともあったのだろう。岡田の特異な頭脳に気付くのは、しばらくたってからだった。「だんだんと、いろんな発想がすごいと感じ始めたんだ。もともと頭がいい。考えること、発想、視点が違う。チームが強くなっていく過程において、いろんなことを彼が中心になってやっていった」

 現役引退後は阪神でスカウトとして従事。現1軍投手コーチの久保田智之、ブルペンを支える岩貞祐太らを担当した。岡田監督はリーグ制覇に貢献したリリーフ陣に負担をかけすぎない起用法などについて、すべてを投手コーチに任せていたことを明かし、評価した。担当した面々が優勝に貢献し、褒められたことが北村は何よりうれしかった。

 「そう言ってくれると本当にありがたい。そこなんだよ。人を使える上司がいると組織はうまくいく。任せて仕事を与えると、彼らもまた成長する」

 一方で日本一を目指すチームには“喝”を入れる。「優勝後は少し緩んでいる感じもするんだ。05年もシリーズまでの期間が空いたこともあって、ロッテに完敗したでしょ」。苦い過去を例に出しながら、当時の監督でもあった岡田の手腕に期待する。「あの時と同じ状況っていうのは本人も感じているはず。ここからどうチームを締めていくか。そこを含めた采配を楽しみにしているよ」

 サヨナラを阻止したダイレクト返球、ラッキーゾーンへのホームランボールキャッチに、華麗なダイビングキャッチ、そしてセンターゴロ…現役時代には数々の伝説的な好守で魅せ、“鳥人”の異名を取った。現在、還暦野球で監督兼選手として活動を続ける北村は、「最前線」で戦う同期による38年ぶり偉業を待ち望んでいる。(敬称略)

 ◆北村 照文(きたむら・てるふみ)1957年1月7日生まれ、66歳。横浜市出身。現役時代は右投げ右打ちの外野手。武相から三菱重工名古屋を経て1979年度ドラフト3位で阪神入団。80年4月8日・中日戦(ナゴヤ)で代走として初出場。88年に西武、90年に中日移籍。92年の引退後は中日2軍コーチ、阪神スカウトを務めた。通算1052試合で打率・246、41本塁打158打点、114盗塁。ゴールデングラブ賞2回(82、83年)。

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