「阪神タイガース８－５読売ジャイアンツ」（２６日、甲子園球場）

　策の打ち合いを制した。２点を追う六回、２死一、二塁で代打・原口の打球が三遊間を破り、二走・ノイジーが生還。追撃ののろしを上げる１点に、阪神・岡田彰布監督はベンチから身を乗り出して「ヨッシャー」と絶叫。両手を挙げて歓喜に浸った。

　「まず１点でも返して１点差にしとけば、まだまだ３イニングあったんで。だから勝負かけたんや」

　１死からノイジーが中前打で出塁。続く坂本が遊ゴロに倒れ、２死二塁となったところ木浪に打順が回った。

　先に動いたのは原監督だった。左腕・大江を投入。岡田監督はすかさず代打に右打者の小野寺を送った。遊撃の定位置獲得後、ほぼフル出場を続けてきた木浪を下げる勝負手だった。小野寺が四球を選んで、一、二塁と好機を拡大すると、島本の打順で続けざまに代打・原口を告げた。すると原監督は大江に代えて、右腕・菊地を送り込んだ。

　右投手対右打者となったが、最後は原口がカウント０－２と追い込まれながら、３球目の１３３キロスライダーをはじき返した。七回の逆転劇につながる価値ある一打に、原口は「いい１点になって良かったと思う。追い込まれていたので、何とかしようという気持ちでいったので」と心地よい汗を拭った。

　継投と代打。同世代の両監督が次々と策を繰り出した。目まぐるしく変化する局面に監督としての本能が刺激された。「いやいや、大好きやわ。昨日より今日の方が楽しかったな。こっちは（選手の）駒がおるからな。向こうはブルペン陣、やっぱり良くないからね」としてやったりの表情で振り返った。

　監督通算６３０勝として、元中日監督の落合博満氏を超えて歴代２２位とした。それでも「どうでもええわ」と笑った。これからも目の前の１勝を積み重ねていくだけだ。