「阪神タイガース４－２読売ジャイアンツ」（２５日、甲子園球場）

　ゲームセットの直後。阪神・岩崎優投手（３２）は自然と空を見上げた。同期の絆でつないだ勝利までの道。天国の後輩・横田さんへ、無事に白星を届けることができた。

　２点リードの九回から登板。先頭・中田翔に四球を与えるも、「狙い通りにいけてよかった」と続く代打・岸田をチェンジアップで遊ゴロ併殺。最後は代打・長野を二ゴロに打ち取って試合を締めた。

　逆転した直後の七回には岩貞祐太投手（３１）が登板。１死から連打を浴びて一、二塁とし、一打同点の危機を招いた。「抑えさせてくれ」－。天国の横田さんにそうつぶやき、気を引き締める。１５０キロの直球で秋広を二ゴロ併殺。渾身（こんしん）のガッツポーズを空に届けた。

　１８日に脳腫瘍で亡くなった横田慎太郎さんの追悼試合で、お立ち台に上がった岩崎、岩貞は横田さんとともに２０１３年度ドラフトで指名された同期。この試合に懸ける思いは強かった。「僕が投げる直前に逆転したのもなにかあるような気がした。いつもとは全く違う気持ちというか、ヨコ（横田さん）の気持ちも背負って投げられました」と岩貞。岩崎も「本当に勝ててよかったです、今日は本当に」と特別な１勝をかみしめた。

　同じく横田さんとドラフト同期の梅野隆太郎捕手（３２）は好リードで投手陣をけん引。「ゲームセットの時にザキ（岩崎）とウイニングボールを手にできたのが良かった。本当にいい報告ができた」。３人が一丸となり、横田さんに弔い星をささげた。

　もちろん、プレゼントはこの１勝だけで終わるつもりはない。「一日、一日いい報告ができるように。最終的に一番いい報告ができるようにと思います」と岩崎。次はセ・リーグ王者の栄冠を天国に届けてみせる。