阪神・前川右京が見せた走り出しの“ピョン” 通算2120安打の小笠原道大との共通点 強じんな下半身がなせる業
阪神の高卒2年目・前川右京外野手が7日の楽天戦で3番に抜擢され、2安打を放った。ノイジーの代役として見事に機能し、11得点の大勝に貢献。その中でも興味深かったのは遊飛に倒れた第3打席だ。
カウント1ボールからの変化球をフルスイングした前川。その直後、打席から一塁へ走り出す際に“ピョン”小さくジャンプした。結果は出なかったが、この動作をよく見せていたのが日本ハム、巨人、中日で活躍し、通算2120安打&378本塁打をマークした小笠原道大(現巨人3軍打撃コーチ)だ。
現役時代、フルスイングが代名詞だった小笠原もスイング後に走り出す際、ピョンと跳ねてから一塁へ向かった。なぜこんな動作が入るのか-。記者が巨人担当だった07、08年当時の篠塚1軍打撃コーチに聞いたことがあった。
「ガッツはとにかく下半身が強い。フォロースルーまで下がガッチリと噛んでいるから、走り出す際に力が解放されてジャンプするような形になっているんじゃないかな」
報道陣もスタッフも練習開始前の東京ドームでよくマネを試みた。しかし野球経験者であっても簡単にできない。時に早出練習で出てきた小笠原に見つかり「お前ら、俺で遊んでるだろ!」と笑いながら言われたこともあったが、それだけあの一拍のジャンプがカッコよかった。
思い出深かったシーンを高卒2年目の若虎が見せた時、思わずハッとさせられた。スイングする際の画像を見ると、とても20歳になったばかりとは思えないほど大きな下半身がスイング時に微動だにしていない。バットを出して行くため右肩は開いているものの、右膝がまったく開かず、左足から送られたパワーがしっかりと乗っている。
だからこそ、下半身にたまった力を解放した時、ピョンとジャンプするような仕草が出たと考えられる。7日の楽天戦後、前川は「(2安打の)後の3打席が、あそこで何とかしないと1軍で戦っていけないかなと思うので。打った後の打席をもっと大事に。自分のやるべきことをしていきたいなと思います」と課題を口にしていた。
阪神&広島で活躍した新井貴浩(現広島監督)の“バット戻し”など、強打者のスイングには何かしらの独特な特徴がある。同じ左打者で背格好も似ている小笠原と前川。サムライと称されたスラッガーは高校通算0本塁打から社会人時代に不断の努力を重ね、大打者へと登り詰めた。巨人時代、自主トレ時の練習量は群を抜き、体を維持するための食事量もえぐかった。
将来はそんな大打者に-。前川のスイングを見ていると、どうしても期待を抱き、可能性を見いだしたくなってしまう。(デイリースポーツ・重松健三)
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