【小山正明氏の眼】阪神・伊藤将の投球には味わいがあった

 「阪神3-2中日」(4日、甲子園球場)

 先発の阪神・伊藤将は調子が良くない中でよくしのいだ。6回を投げて11安打を浴びながら2失点にとどめたことが、終盤の逆転劇を呼んだと言ってもいいだろう。

 巨人打線を完封した前回登板に比べれば、直球、変化球ともにそこまでのキレがなく、制球にもばらつきがあった。ただ、要所ではいいボールがきていた。三回から六回は走者を置いた状態で3アウト目をすべて内野ゴロで取った。苦しい場面でも両コーナー、低めにボールを集められるのが彼の良さだ。

 調子が良く、三振をいくつも奪っていく投球は見ていて気持ちいいが、走者を出しながらも投球術を駆使して、踏ん張っていく投球も味わいがあっていい。この試合の伊藤将がまさにそうだった。

 今後に向けて、直球をもう少し多めに使っても面白いと思う。右打者の内角、左打者への外角へのキレのいい直球は彼の長所の一つで、この試合でも随所で効いていたが、もっと比率を高める試合があってもいい。そうすればより、相手も惑うだろう。

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