侍・湯浅 粘りの0封 慣れないWBC公式球でボール先行「こういう時にいかに抑えるか」
「侍ジャパンシリーズ2022、オーストラリア0-9日本」(10日、札幌ドーム)
日本は来年3月のWBC1次リーグで同じB組に入った豪州に快勝した。八回から登板した阪神・湯浅京己投手(23)は本番で使うWBC公式球の影響で制球に苦しみピンチを背負ったが、1回無失点。チームは4戦全勝で年内の強化試合を終えた。
マウンドで何度も表情をゆがめた。明らかににじんでいた苦闘の色。制球が定まらず得点圏に走者を背負ったが、粘りの投球でスコアボードに「0」を刻んだ。ピンチを切り抜けた湯浅は、ホッと息を吐いた。
「今年投げた中で感覚的に一番良くなかったが、なんとかゼロに抑えられて良かった」
6点リードの八回から登板。先頭のケネリーにいきなり3ボールとしたが、カウント3-1からの直球で三ゴロに。ただ、ホワイトフィールドにはストレートの四球を与え、グレンディニングにはフルカウントから左前打とピンチが拡大する。
ボールが先行するたび、スタンドのファンから温かい拍手が注がれた。これを力に変えて懸命に腕を振った。1死一、二塁でウェードは2ボールから直球で右飛。最後に対したフリッツはカウント2-2から142キロ直球で遊ゴロに抑えた。
6日・巨人戦(東京ド)では三者凡退に仕留めたが、代表合流前からWBC使用球の対応の難しさを語っていた。「真っすぐの感覚的には最初、滑る感覚があって、指がかからないなという時もありました」。この日は直球が浮き、フォークの制球が定まらなかった。ただ前回登板のような良いイメージだけではなく、今回のような苦しい内容を経験できたのは収穫の一つだ。
「こういう時にいかに抑えるかという課題が出た。来年は、そういう時にも走者を出さずに抑えられるように」。3大会ぶりとなる世界一奪還のピースとなるために-。侍戦士として登板、経験できたことを生かして最善の準備を進めていく。