「セＣＳファーストＳ・第３戦、ＤｅＮＡ２－３阪神」（１０日、横浜スタジアム）

　阪神が競り勝って対戦成績を２勝１敗とし、３年ぶりのファイナルステージ進出を決めた。デイリースポーツ評論家の藤田平氏は、六回に阪神ベンチが指示した近本、大山への送りバントを疑問視。「勝ちにこだわるのはいいが、これが自分たちの野球だったのだろうか」と首を傾げた。

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　勝ちに徹した阪神が第２ステージへの権利を何とかもぎ取った。１点を守り切る継投と１点にこだわる攻め。救援した西純はよく投げたし、打線はよく引っ繰り返した。

　六回の攻撃は、個人的には首を傾げる采配だったが“何としてでも勝つんだ”という姿勢だけは感じた。

　１点ビハインドの無死二塁で主軸である近本と大山の３、４番に連続して送りバントを指示した場面だ。

　第１戦では今永から決勝打を放ち、左腕投手を苦にしない近本になぜ？　そう思うファンも多かったのではないか。

　近本は初球の完全なボール球に手を出してファウル。その後も決められず、ヒッティングに切り替わったあと、自らの“失敗”を取り返す二塁打を放って同点にした。

　これで勢いづいたと思ったら、次打者の大山にもバント。これがこのチームの野球だったのかと疑問に思うところはあったが、捕邪飛に倒れた大山のミスを原口の勝ち越し打が救ったね。

　この日の第３戦もこれまで同様に僅差の投手戦となった。阪神の最大の武器は質・量とも豊富な投手力。三回１死一、三塁で才木をリリーフした浜地が、牧を二ゴロ併殺に仕留めたのも大きかった。

　一方で打線は３試合とも苦しんだ。だが、大事なのはこの試合で示した「送りバント」の意味を選手がどう感じているか。そしてベンチは、どこまで理解させているかということ。ベンチと選手の呼吸が合っていないと、また失敗すると思う。

　“勝てば官軍”なのかもしれないが、こういう戦い方を次のヤクルトとのシリーズでも用いるなら、そこも徹底しないといけない。

　短期決戦だからといって急に“よそ行きの野球”をやっても成功しないものだ。ただ、これまでにも勝ちにこだわる野球をやっていれば、もっと勝てたのかもしれない。そう思わせる試合だったね。