【中田良弘氏の眼】新勝利の方程式で湯浅が初S「理想の抑え投手」 矢野監督の置き土産?

 「セCSファーストS・第1戦、DeNA0-2阪神」(8日、横浜スタジアム)

 阪神・湯浅京己投手(23)が初セーブを記録した。レギュラーシーズンでは実現しなかったストッパーとして八回二死一、二塁で岩崎からバトンを受け、九回も投げ切った。デイリースポーツ評論家の中田良弘氏は「これが理想のポジション」と語り“新勝利の方程式”を歓迎した。

  ◇  ◇

 阪神が自慢の投手力を前面に押し出して逃げ切り勝ち。第1Sでは特に大事な初戦を取ったね。

 虎の子の“2点”を奪ったのは五回。青柳の右前打をきっかけにしたものだ。このヒットが両エースの投げ合いに決着をつけたと言ってもいいぐらい、キーを握る一打になった。

 今永は先頭の坂本を1球で仕留め、青柳の初球にストライクを取った時点で、この回を簡単に終わらせられるという計算が働いたはず。ところが、それを狂わせたのが投手である青柳の気持ちの入ったヒットだった。

 その後、中野に打たれ、マルテには慎重になりすぎて四球。そして近本に2点打。マウンド上の今永の様子から、ショックが尾を引いているのは明らかだった。

 青柳に投げたのは外寄りの直球で、バットを出しやすいコースの球だった。相手打者がたとえ投手であっても気を抜くな、野手と思って投げろ。よくそう言われるが、顔を見ると、やっぱり投手なんだよね。

 ただ、今永も三回裏の打席では気迫のこもったスイングで粘っていた。三振には倒れたが、投手の打席も大事だということは理解していたと思うね。

 ところで、この日の阪神ベンチは、レギュラーシーズンで使っていた勝ちパターンの起用法を変えてきた。

 つまり八回に岩崎が登板し、湯浅へバトンタッチ。シーズン中とは逆だった。

 先発した青柳から岩貞、浜地、岩崎を経て湯浅へつないだ無失点リレー。この新しい勝利の方程式は歓迎したいね。

 抑え投手に必要な三振を取れるスピードボールと、落ちる球を持っている湯浅の特長を考えれば、これが理想のポジションではないか。

 首脳陣は今年“実質1年目”だった湯浅の体への負担などを考慮し、あまり無理をさせなかった。ストッパーが受ける重圧はすごいからね。

 ただCSを前にしてようやく“最後を任せられる投手”と判断したのだろう。この試合のイニングまたぎは誤算だったろうが、期待通りの投球だった。

 結果的に、これが矢野監督の置き土産になるのかな。ポストシーズンはどこまで戦えるか分からないけど、湯浅にはさらに大きな自信をつけて、今年をフィニッシュしてもらいたいね。

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