阪神に見るポジショニングの不備 拙守、失点につながる要因を高代延博氏が分析

 「阪神3-6広島」(13日、甲子園球場)

 阪神が広島との直接対決に敗れ、その差が1ゲームに接近した。順位争いは巨人も含めた大混戦。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は阪神の弱点である守備面に言及し、「ポジショニングの不備」が拙守、失点につながっていると説いた。

  ◇   ◇

 阪神の試合を見ていて、ポジショニングの大切さを再認識させられたね。目に見えないプレーで失点を防ぐ。それができれば、もっといい戦いができるはずだと。

 広島に入った四回の先制点は、木浪のちょっとした守備位置の“ずれ”が生んだと言える。

 状況は一死一、三塁で打者が小園。阪神の内野は併殺シフトを敷いていた。ただ、打者の足と投手が青柳で“変な当たりのゴロ”が多いことを考えれば、もう少し前めに守っていた方がよかったと思う。

 さらに言えば、木浪の打球処理と送球もよくなかったね。本人から見て体の左側で捕球し、ベースカバーに入った中野の左胸あたりに投げている。これでは自分自身の二塁への送球が遅れ、中野も一塁へ転送するのに余分な動作が必要になる。その焦りが一塁への悪送球を生み、チーム失策数をまた増やす結果になってしまった。

 ポジショニングが的確だったら、この併殺は完成させることが可能だったと思うね。また二遊間の呼吸も合ってなかった。

 依然としてセンターラインが定まらないというチーム事情が、こういうところにも顔をのぞかせているのかもしれない。

 六回の3失点もポジショニングが気になった。無死一、二塁で小園の送りバントを処理した原口が三塁へ送球し野選となった。

 素早い送球だったし、めいっぱいのプレーだったが、二塁走者に矢野が代走起用された直後だということを考えると、もう一歩前めに守る必要があったのではないか。

 気になったのはその後の無死満塁での守備隊形だ。二遊間が中間守備で併殺シフトをとったが、あそこはバックホーム態勢の方がよかったと思うね。

 試合は後半に入り、スコアは1-2で1点リードされていた。ベンチがこれ以上の失点を許さないという強い意思を示せば、それは当然投手の青柳にも伝わるものだ。

 ベンチが取った策は1点を与えても2点目以降を防ぐというもの。矢野監督はこちらを選択したのだろう。

 結局この回は、無死満塁から三ゴロで1点を失い、その後、羽月の左中間2点二塁打で追加失点。青柳は六回5失点で降板した。

 この試合で目に付いたポジショニングに関してはデータをはじめ、選手自身のキャリアや勘に頼るところもある。

 井端や荒木が在籍していたころの中日は、落合監督が“ベンチから指示を出すな”と言ったことがある。信頼できる二遊間だったからこその芸当だが、今の阪神はその大事なコンビが毎試合のように変わるから落ち着かない。もちろん1点をめぐる攻防になれば、守備位置を決めるのはベンチですよ。

 大山や佐藤輝という主軸選手まで内外野を転々としているのが今年の阪神。打力優先で守備位置が変わるため拙守=失点は覚悟の上なのだろうが、チームとしてこれでいいとは思えないけどね。

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