【高代延博氏の眼】阪神の頼れる大山、気になる佐藤輝 依然として残る課題「速球対策は絶対」
「阪神8-0広島」(1日、甲子園球場)
阪神が降雨コールドで広島3連戦に3連勝。勝率を5割に戻した。才木が完封し、打線は六回途中までに13安打のワンサイド。だが、デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏(68)は大山、近本に見劣りする阪神・佐藤輝明内野手(23)に関し「速球対策はプロでメシを食うためには絶対に必要」と強調した。
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大山が2安打で2打点。近本が本塁打を含む4安打。2人とも頼りになるところを見せたね。一方で4番に座る佐藤輝は依然として直球に遅れている。やはり速球への対応力を上げていかないと、アベレージは上がらないし、当然ながら本塁打も増えない。これから先も苦労するのは見えている。
六回一死満塁で右翼線への3点三塁打を放った。フルカウントからの真ん中低めの直球だったが、体との距離があるコースだったため、何とかさばくことができたのだろう。
気になったのは、その打席の3、4球目に真ん中付近の直球を空振りしているところだ。内角の厳しいコースでも、高めぎりぎりのゾーンでもなかった。
あの状況で、そんなところへ直球を投げられ、それを仕留めきれないところに、どうしても4番としての物足りなさを感じてしまう。
三塁打を放ったからと言って、手放しでは喜べないのはそこに理由がある。
初回の一ゴロは、1ボールからの2球目のかなり低い変化球。手を出す必要のない球だった。
三回は一死一、二塁の好機に打席が回ってきた。これも1ボールからの2球目だったが、外角低めのシュートに対し、合わせるようなスイングで左飛に倒れた。
4番打者が第1ストライクで打つ球ではないし、あの球を狙っていたのなら、本塁打を打つぐらいの思い切ったスイングをしてほしかったね。
これらの打席を見ていて感じるのは“速球に遅れまい”とする余裕のなさだ。自分の“間”やペースで打つことができず、翻弄されているように映る。
新人だった昨年と比較して、この速球への対応に関しては、さほど進歩しているようには感じない。本人なりに試行錯誤を繰り返しているとは思うが、課題は解消されないままだね。
バットのヘッドが投手方向を指して構えていると、それを戻す動作が必要になるため始動が遅れる。今度は差し込まれたくない気持ちが働くから、左肘が下がって後ろが大きくなりバットが下から出る。
差し込まれても肘が下がっていなければ、ボールを押し込むことができるが、今の佐藤輝にはそれができない。基本的にこのバットの軌道は変わっていないからね。
ヘッドが投手方向を指さず、左肩の背中側へ少し倒れるような構え方にしている時期もあったが、なじまなかったのかな。
2年目で4番。重責を担っている大変さは十分理解できるが、本当の4番は速い球を打ち込んでこそ。ストレートに弱い選手はプロでメシを食えないというからね。何とか克服してほしいものだ。
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