阪神・青柳 粘りの投球で10勝目 93年湯舟以来セパ一番乗り セ2年連続は球団初
「阪神2-1中日」(15日、甲子園球場)
お立ち台では、少し控えめな笑顔。満足のいく内容ではなかったが、手にした快挙を誰もが認めるだろう。阪神・青柳晃洋投手が自身7連勝で両リーグ最速となる今季10勝目をマーク。球団では93年・湯舟以来、29年ぶりだ。
「狙ったところに投げられなかったところは悔やまれる。本当に梅野さんがいいリードをしてくれた」
快記録への道のりは苦しかった。初回、1死三塁から岡林に二塁へ適時内野安打を許して先制点を献上。二、三回はピンチを背負いながらも無失点で切り抜けた。三回までで65球と増える球数。それでも、簡単に崩れないのがチームを支える右腕のすごみだ。
「いいところを狙うっていうのはやめにして(笑)。バッターに打ってもらおうと」と割り切り、四回以降は1安打を許しただけ。6回6安打1失点で、今季自身初の“竜倒”を果たした。勝利数、防御率、勝率、奪三振数、完投数、完封数の“6冠”をキープ。2年連続でセ・リーグ2桁勝利一番乗りは、球団史上初と記録ずくめだ。矢野監督も「ヤギ(青柳)の成長が見えた投球」とたたえる。
「やればできる」が信条の男。その能力を引き上げたのが金本前監督だ。記憶している虎党も多いだろう。プロ初登板初先発した16年6月1日・楽天戦で、5四死球を与えながらも5回1失点でプロ初勝利をマーク。「勝ちを付けたいという金本さんの思いが、へろへろの僕を引っ張ってくれた」と感謝する。
だが、3年目に登板数が激減。「今のままじゃ無理だよと。プロの世界を教えてくれたのは金本さん。自分が今持っているものを全力でやりなさいっていうのを、ずっと示してくれた人だった」。喜びも、厳しさも経験させてもらった。だからこそ今、力を尽くして腕を振る。
「結果、勝ちが付いてうれしいくらいの感じ」と何よりもチームの勝利を喜ぶ右腕。真のエースへ-。10勝は、ただの通過点だ。
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