阪神・北條 724日ぶり聖地弾 背水10年目「爪痕残してやろう」左肩手術乗り越えた
「阪神2-1中日」(15日、甲子園球場)
長く、つらい苦しみを乗り越えた。阪神・北條史也内野手(27)が二回、左越えに1号逆転2ラン。449日ぶりの一撃で、左肩手術後の苦悩の日々が報われた。努力を怠らない男の復活弾。矢野監督は「神様からのプレゼント」だと言った。3連勝で3位浮上。ウル虎の夏が始まった。
巡ってきたチャンスで、悔いを残すわけにはいかない。「試合前から絶対に爪痕を残してやろうと思っていました」。一球、一打席に懸ける北條のフルスイングから放たれた一筋の放物線は、甲子園の夕空へと消えた。
「感触?覚えてないです(笑)。打った自分が一番びっくり」。お立ち台で白い歯をのぞかせた北條だが、くるっと回転し、内角球をうまくさばいていた。
1点を追う二回1死二塁。打席に入る前、近本から「7番はチャンスで回ってくるから、その一本でいい」と言葉を掛けられた。左腕・上田が投じた140キロ直球をガツン。左翼ポール際に着弾する今季1号2ランで一塁を回る際にはガッツポーズが飛び出した。
ベンチでは近本も「それが一番いい」と絶賛の一撃。21年4月22日・巨人戦(東京ドーム)以来449日ぶりの一発で、甲子園では20年7月21日・広島戦以来724日ぶりだ。
爪痕を残したい-その裏側には、ふがいなさや悔しさがある。16年には122試合に出場し、レギュラー格としての成長を期待されたが、現在は後から入った同学年の大山や近本がチームの顔となり、自らはベンチを温める日々。「大山、近本に負けています」と立ち位置にガッカリした。
故障にも悩まされた。前年は前半戦に右足首を痛め、9月の2軍戦で左肩を亜脱臼。10月18日に行われたフェニックス・リーグのDeNA戦で同じく左肩を痛め、同月下旬に「左関節鏡下肩関節唇形成術」に踏み切った。
心が折れそうな日々でも腐らなかった。今春の安芸キャンプで同じリハビリ組だった中野は「『復活してやろう』という気持ち、雰囲気が伝わっていた」と北條の姿を証言する。ひのき舞台で輝く時が来ることを信じ、前を向いてトレーニング、治療に励んできた。
ヒーローの北條に、矢野監督は「日頃からチームのためにいろいろやってくれる選手。野球の神様からのプレゼントかもしれない」と賛辞を惜しまない。
苦しい時に支えてくれたトレーナー陣へ感謝を示す再出発の1号だ。「一本打てたけど、もっともっと活躍して恩返ししたい」。プロ初の一塁スタメンで3位浮上に導いた北條。大山不在の中、この日のような勝負強さで打線の穴を埋める。
◆北條の甲子園アーチ 光星学院(現・八戸学院光星)時代から数え、ウエスタンで記録した2本を含めて通算15本塁打。人生の甲子園1号は2012年の高3夏の大会。遊学館と対決した2回戦の第4打席で記録した2ランだった。東海大甲府との準決勝では2打席連発を放つなど同大会で4本塁打。85年夏に清原和博が記録した1大会5本塁打へあと1本に迫る暴れっぷりだった。
野球スコア速報
関連ニュース





