阪神・中野 後輩の思い詰まった練習用赤グラブ 母校OB早坂さん“デビュー作”提供

 阪神・中野(右)と早坂勇人さん(スラッガー社提供)
 活躍を誓う中野
 中野のグラブを製作する早坂勇人さん(スラッガー社提供)
3枚

 阪神・中野拓夢内野手(25)は安芸キャンプ中、通常より一回り小さい赤のグラブを使用していた。日大山形高野球部の後輩にあたる早坂勇人さん(20)が初めて製作したグラブで「後輩が作ってくれたんですよ!!」と思い入れが深い一品。このほど早坂さんが製作の裏側を語り、将来的には「ゴールデングラブを獲れるような守備に貢献できるグラブを作りたい」との夢を口にした。

 下肢コンディション不良により、安芸キャンプで別メニュー調整を続けた中野は、トレーニング用の赤く小さなグラブを使用していた。「高校の後輩が作ってくれたグラブなんですよ!!」。誇らしげに左手にはめたグラブを森木に紹介する姿があった。

 そもそも中野の後輩とは?日大山形高野球部出身で、現在は中野が用具提供を受けるスラッガー社のグラブを製作する工場で働く早坂勇人さん。高校卒業後に入社し、今年で3年目を迎える。

 入社2年目の秋、見習い期間を終えて勤務先の社長から「もう商品を作れるよ。1個目に中野さんのグラブを作ってみないか」と提案されたという。早坂さんは「まさか1個目でこういう機会をいただけるとは」とただただ恐縮していた。

 「製作中は不安とうれしさが半々くらいでしたね。特に縫製が自分的には難しかったです。縫う段階になってから少し心配になりました」

 丹精を込めたグラブ。早坂さんなりのこだわりがある。中野が赤の野球用品をよく使用していることに着目し「イメージがあったので赤でいこうかな」と自分で決めたという。

 昨年12月20日、スラッガー社の本社で中野と対面した。「自分の中では今までで一番の出来」と自信を持っていたが、グラブを手渡した際に中野から「いいね」と絶賛され、早坂さんは「本当に泣きそうになりました」と必死に涙をこらえたという。

 早坂さんが日大山形高在籍時に、当時、東北福祉大に進学した中野と高校で対面したことがある。実際に指導をしてもらったことを明かし「技術的な面でゲッツーの時の足の運び方であったり、その時は室内で基礎練習だったんですけど、グラブのさばき方だったりを自分は覚えていますね」と懐かしげに振り返った。

 関西の企業に就職し、再びつながった中野との縁。「会社来る時は(中野がスラッガー社から用具提供を受けているのを)忘れていた(笑)。でも、入って中野さんが活躍されていたので、もしかしたら作れるチャンスはあるんじゃないかなと思っていました」。練習用のグラブを今回は製作したが、いずれは中野のゴールデングラブ獲得を後押しするような試合用グラブを作るのが夢だ。

 「本当に作れるのにはまだまだかかると思うんですけど、ゴールデングラブを獲れるような守備に、最終的にはやっぱり貢献できるようなグラブを作りたいなと思います」

 ◇早坂勇人(はやさか・ゆうと)2002年2月4日生まれ、20歳。山形県出身。右投げ右打ち。小学2年から軟式の舟形ビッグサンダースで野球を始め、その後は舟形中でプレー。日大山形高では内野手を務め、1年夏、2年春に甲子園大会にチームが出場している。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス