90年代主力投手の元阪神・川尻氏がエール「暗黒時代と比べればその力十分」
元猛虎戦士で東京・新橋の居酒屋「タイガー スタジアム」を経営する川尻哲郎氏(53)が4日、開幕から9連敗中の矢野阪神にエールを送った。1990年代の“暗黒時代”に主力投手として活躍し、98年にはノーヒットノーランを達成した同氏。「暗黒時代と比べれば、その力は十分にある」と激励し、原点回帰こそ勝利につながる鍵だと力説した。
テレビに映る暗い顔をした阪神の選手たちを見て、今も心に宿る猛虎魂が揺れ動いた。セ・リーグ史上ワーストの開幕9連敗。屈辱の日々を送る後輩たちを思うと、胸が張り裂けそうだ。川尻氏は「まず一つ勝つことだよね。勝たないことには何も始まらない」と言葉を絞り出した。
現役時代は227試合の登板で60勝72敗、防御率3・65。貴重な先発サイドスロー右腕として低迷期の阪神を支え、98年5月26日・中日戦(倉敷)では史上66人目のノーヒットノーランを達成。そんな元虎戦士は「暗黒時代と比べれば、その力は十分あるんだから」と現在の虎を評する。
ならば今、チームは勝つために何をするべきなのか-。「技術も必要だけど、塁を進めて点を取る、塁を進めさせずに点を守るのが野球。その原点に返ること。個人プレーではなく、基本的なプレーを徹底することが大事」。同氏は原点回帰に活路があると説いた。
一昨年の12月に東京・新橋で居酒屋「虎戦士居酒屋・虎尻」を開店。「タイガー スタジアム」に店名を変えた現在も、川尻氏が店主兼解説者として来店客をもてなしている。昔も、今も、阪神とともに生きるノーヒッター。つらく苦しい時代を経験したからこそ、1勝の重みが分かる。
「監督はじめ首脳陣が戦う空気を作りながら、チームに浸透させること」。トンネルの出口は必ずある。先輩は同じ言葉を繰り返した。「勝たないことには始まらない」。今季初勝利が大逆襲のスタート。そう信じている。
◆川尻 哲郎(かわじり・てつろう)1969年1月5日生まれ。53歳。東京都出身。右投げ右打ち。日産自動車から94年度ドラフト4位で阪神入団。98年5月26日・中日戦(倉敷)でノーヒットノーランを達成した。近鉄、楽天への移籍を経て05年に現役引退。20年12月に居酒屋「虎戦士居酒屋・虎尻」(現タイガー スタジアム)をオープン。東京都港区新橋3の11の9(TEL03・3578・3336)
◆阪神“暗黒時代” 1994年の4位を最後に低迷。95、96年は最下位。97年に5位浮上も98~01年は4年連続最下位。阪神のシーズン最多連敗は12で過去2度あり、いずれも最下位に沈んだ98(8月4~16日)、99(9月11~28日)年に記録した。
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