V逸の阪神 痛すぎた勝負どころでの同一カード3連敗 ムード一気に盛り下がった

 2021年のプロ野球はセ・リーグがヤクルト、パ・リーグがオリックスのVで幕を閉じた。担当記者が自軍の今季を総括する新企画「21年あの瞬間」がスタート。第1回は阪神担当の和田キャップが両リーグ最多77勝を挙げながら、悲願Vに届かなかった矢野阪神の2021年を振り返る。勝負どころでの『同一カード3連敗』が、前半戦の首位独走から逆転Vを許した要因の一つと分析した。

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 6月には2位に最大7ゲーム差をつけながらのV逸。阪神はなぜ逃げ切ることができなかったのか-。主力選手の不調が長引いたことなど、その要因はすでにいくつも指摘されてきた。そこで今回の総括企画では矢野阪神が今季喫した痛い『同一カード3連敗』に焦点を当てる。

 各チームの今季の同一カード3連敗はVのヤクルトが2回、2位・阪神、3位・巨人がともに3回、以下、広島4回、中日5回、DeNA4回となっている。上位3チームの詳細は別表の通り。阪神との開幕カードで3連敗を喫したヤクルトは、6月末の巨人戦3連敗を最後に後半戦では一度もなかった。

 対して阪神は8月末、9月末に2度。しかも、ともに下位の広島相手に喫した。記者が特に印象に残っているのは、8月末の敵地マツダスタジアムでの3連敗。中でも5-0の完封負けを喫した3戦目は初回2死からの失策後に鈴木誠に2ラン、坂倉にソロの連弾を食らい、広島投手陣には16個の三振を奪われての0封という完敗だった。

 その敗戦で5カ月間守ってきた首位の座を明け渡し、一気に3位へと転落した。ベンチのムードは最悪…まるですべてが終わってしまったかのような雰囲気さえあった。当日は矢野監督の代表取材を担当したが、ショックを隠そうとしたのか、努めて冷静に対応した姿が逆に痛々しかったのを覚えている。

 阪神はその1カ月後に甲子園で再び広島に3連敗。東京ドームで激戦を繰り広げ、巨人に勝ち越した直後の出来事だった。巨人も9月末から一気に3度も同一カード3連敗を喫してV争いから脱落した。その間にイケイケ状態のヤクルトが勢いを増し…。トータルでは両リーグ最多77勝を挙げた阪神だが、勝負どころでの、この“もたつき”が結果的に響いてしまった印象だ。

 矢野監督はこのところ、改めて痛感させられたかのように「1位と2位には想像以上に大きな差がある」と話す。シーズンを通してずっと好調を維持することなどできない。それでも頂点をつかむためには、チームの勢いが止まり、ムードが一気に盛り下がる同一カード3連敗を来季は極力避けたいものだ。

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