【高代延博氏の眼】阪神激痛 ヤクルトとの直接対決完敗でV遠のく「捕手の差が出た」
「ヤクルト4-1阪神」(8日、神宮)
逆転優勝を狙う2位・阪神は、手痛い敗戦を喫して首位・ヤクルトに優勝マジック11が点灯。ゲーム差は「3」に開いた。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「捕手の差が出た試合」と梅野のリードに疑問を投げかけた。
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阪神にとって悔いが残るとしたら五回、1死二、三塁で高橋が塩見に右前打された場面ではないか。
初球の内角ストレート。狙ったコースより少し甘くなり、スーっと入っていったところを右腕で、うまく押し込まれた感じだった。
塩見は初回と三回の打席でも初球から打ちにきていた。両打席とも凡打に倒れていたが、彼は第1ストライクから積極的に振ってくるタイプ。走者を背負った状況だけに慎重さがほしかった。
梅野のミットを構える動作にも疑問を感じた。単純に内角を要求しただけのように見えたからだ。
積極スイングの塩見の性質や、外野フライでも点が入るということを考えれば、もっと厳しく打者寄りに構えた方がいい。打者の“足場”を動かすボール球から入る手もある。
捕手の意図が、投手の高橋にしっかりと伝わっていたのか。あるいはそういう意図はなかったのか。それは分からないが、梅野に不足しているのは、投手に捕手の意図を伝えるための大きなジェスチャーだと思う。
特にこの日の高橋は、いつものようなゆったりした投球ではなく、どこか投げ急いでいるように見えた。
投球フォームに独特の“タメ”がない。調子が今ひとつだというのは梅野も感じていただろうから、何とか工夫をして、しのいでほしかった。
一方のヤクルトは中村がいいリードをしていた。
先発した奥川に、いつものようなコントロールがなかったが、内角球を巧みに使ってポップフライを打たせていた。
八回、木浪と近本の連続三振は中村のリードにやられたものだ。木浪は直球を見逃し。近本も直球だったが、ハーフスイングを取られた。
2人とも配球で頭を混乱させられていたのが見ていて分かった。リリーフした清水の投球も素晴らしかったけどね。
この試合に限って言えば、捕手の差が勝敗を分けた一因と言えるのではないか。
繊細かつ大胆な中村と比較されても仕方がないと思える梅野のリードだった。
ヤクルトは清水もマクガフも4連投。しかし、疲れを感じさせない強さがある。追いかける立場の阪神にとっては本当に痛い1敗となったね。