阪神・西勇 七回ヒヤリも魂の続投7回1失点 マツダ不敗&鯉戦連勝ストップ

 7回、打者・クロンの場面でマウンドで足を滑らせ、顔をゆがめる西勇
 1回、プレートをロジンではらう西勇
 6回、先制を許し、肩を落とす西勇
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 「広島1-0阪神」(30日、マツダスタジアム)

 阪神・西勇の不敗神話が途切れた。7回5安打1失点の奮闘も実らず、森下との息詰まる投手戦に敗れた。プロ入り以来、通算9戦で6勝負けなしだったマツダスタジアムで初黒星。それでもエースの神髄を示す2021年シーズンの初陣だった。

 「自分自身の今シーズン初戦でしたけど、いつもと変わることなく試合に入れましたし、先発としてイニングを多く投げるということはできました」

 0-0で迎えた六回1死二塁。ここまで鈴木誠、長野ら右打者を翻弄(ほんろう)していた懐に切り込むシュートを、絶好調の菊池涼に打ち返された。均衡を破る左前適時打に敵地は拍手に包まれる。スコアボードに手痛い「1」が刻まれ、これが決勝点となった。

 それでも、七回にはこの日2度目の一塁けん制アウトでピンチの芽を摘んだ。2死からクロンへの4球目を投じた後にうずくまり、心配した矢野監督も三塁ベンチから飛び出して来たが、続投して空振り三振。要所で自慢のフィールディングが光り、逆転を信じて懸命に腕を振り続けた。

 指揮官は「大丈夫じゃないかな。今のところの感じ。ちょっと(足が)滑ったんだけど」と七回の場面を説明。そして「攻めていく中で、仕方のない失点だから。援護がなかったというのは申し訳ない」と西勇に頭を下げた。広島戦は2019年5月31日から11戦負けなしの7連勝中だったが、1点に泣いた。

 シーズン初登板は15年から7試合白星なしの5連敗。チームを13年ぶりの開幕4連勝にも導けなかったが、この日の80球には多くの手応えを得た。

 キャンプ中のアクシデントで開幕投手を藤浪に譲ったが、2カード目の初戦で真価を示した。優勝を渇望する虎のエースは、敗戦を糧に次戦のマウンドに向かう。

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