【藤田平氏の眼】追い込まれる前に仕留める佐藤輝のすごみ

 「オープン戦、西武3-5阪神」(17日、メットライフドーム)

 改めてだが、甘いボールを一発で仕留められることが、ドラフト1位・佐藤輝の魅力だ。新人記録更新となるオープン戦6号を放った第1打席は、カウント1-1からの甘いストレート。この日の本塁打を含めて、オープン戦での全6本塁打は2ストライクに追い込まれる前に打ったものだった。

 当然、追い込まれれば勝負球の厳しいボールを投じられる確率が高くなる。その前の段階、ストライクを取りに来るであろう早いカウントで比較的甘いボールを見逃さずにフルスイングできているのだから、やはり大したもの。また、この日初めて150キロ台の直球を本塁打にしたが、佐藤輝の場合、球速も問題にならないだろう。

 一方、意図的にそうしたのかは定かではないが、2打席目以降はフォークなど落ちる球種といった低目の変化球を打ちにいって凡退した。シーズンに向けた準備のひとつは、やはり低目の見極めだ。

 佐藤輝の魅力は何と言ってもフルスイング。ここまでの打席を見る限り、打者として完成していると言ってもいい。その上で、低目のボールをバットで拾うイメージのスイングを養ってもらいたい。

 長いシーズンは、状況に応じた打撃を求められることが多い。全打席で本塁打は打てない。時には走者を進めたり、本塁へ返したりするバッティングをしなければならないことがある。状況に応じた打撃というものを意識的に勉強していくことも大事だ。

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