遥人よ失敗から学べ 同じ背番号29背負った井川から未来のエースへアドバイス

 同じタテジマの背番号29を背負った大エースから未来のエースへ貴重なアドバイスが送られた。阪神で主戦投手として活躍し、メジャーにも挑戦した井川慶投手(40)が、高橋遥人投手(23)について語り、自身の体験を元にしたローテーション投手としての心構えを伝授。2003、05年のリーグ制覇に大きく貢献した大先輩の助言を胸に、高橋遥が飛躍の2020年に大きく羽ばたく。

 同じタテジマの背番号29を背負う速球派の左腕。「やっぱり気になるよね」と話した井川は「素晴らしいモノを持っている。真っすぐが速くて、伸びがある」と高橋遥の潜在能力を絶賛した。

 高橋遥は大卒2年目の今季、18試合に先発して3勝9敗に終わった。井川は高卒3年目の2000年シーズン後半から先発に回り、5試合に先発して1勝3敗の成績。突如崩れて1イニングに大量失点するなど、当時は今季の高橋遥と似たような投球が多かった。

 その後、井川は03年に20勝(5敗)を挙げて、18年ぶりのリーグ制覇に貢献する大エースへと成長する。覚醒した理由はずばり“経験”だという。「ローテーションを経験することがモノを言うというか。コンディション作りなど、次の試合への持っていき方なんかを体でだんだん覚えていくんです」

 エースとして大きく羽ばたいてほしい。その思いがアドバイスへと変わる。かつてのエースは、発展途上の段階で木戸コーチに口酸っぱく言われた心得を話し始めた。

 「大量失点となったイニング、負けた試合で“どこの場面からやり直したいか”を常に振り返るようにしろと。それを意識し続けることで、だんだん試合の中で『ここ』っていう勝負どころが分かってくるんです」

 まずは“勝負どころ”を理解する。そして「よくギアを上げるって言いますが、そこで一気に100%の力を出せるようにする。それができるようになれば、だんだん勝てる先発投手になっていく」と明かした。

 助言を伝え聞き、高橋遥は「井川さんがそう言ってくださるのは、すごいありがたいですね」と瞳を輝かせた。決意を込めた表情で言葉を続け「ここが大事だと分かるときもあるんですけど、そこを抑えきれていない。そもそもまだ分かってないときも多い。毎試合分かるようになって、抑えられるようになっていきたいです」

 今年一年で得た経験、そして大先輩の助言を胸に、23歳の若き左腕が“虎のエース道”を歩んでいく。

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