矢野虎 底力見せろ!デッドライン越え首位と7・5差…痛恨4位逆戻り
「DeNA7-2阪神」(4日、横浜スタジアム)
見せ場なく敗れた阪神がデッドラインを越えた。1点を追う二回にランディ・メッセンジャー投手(37)がスクイズのサインを見逃すなど拙攻のオンパレードで、DeNAにカード負け越しを喫し、4位に転落。首位巨人とは7・5ゲーム差に広がった。過去阪神が優勝した時の最大逆転ゲーム差は「6・5」。前半戦で早くも矢野虎が正念場を迎えた。
前夜、快勝した勢いは消えていた。五回以降は2安打の淡々とした攻撃に、投手陣は失点を重ねた。得意としてきた横浜でのDeNA戦で4年ぶりにカード負け越し。矢野阪神がついに“デッドライン”を越えた。
過去5度のリーグ優勝で、最大の逆転優勝は64年の6・5ゲーム差だった。この日、首位・巨人が勝って7・5ゲーム差。データ上ながら優勝の可能性が消滅した。
DeNA先発・大貫が降板するまで毎回走者を出し、4度も得点圏に走者を置いた。それでも攻略しきれない。矢野燿大監督は最後まで響いた拙攻に苦しい心境を明かした。
「(走者を)かえすところでどうなんやろう…。もうひと工夫していかないと…。上を目指す中で自分らのペースに持って行くということが、得点圏でできていない感じがする」
3日・DeNA戦で先発を外れた4人をスタメンに戻し、1番に糸原、2番に近本を置いた。初回に幸先良く先制したが、ミスで流れを手放した。
1点を追う二回1死一、三塁。メッセンジャーの初球にスクイズのサインが出た。一走・木浪、三走・高山がスタートを切る。だが、メッセンジャーは打席で棒立ち。高山が挟殺プレーでアウトとなり、絶好機を逃した。
清水ヘッドコーチは「サインだけは分かっていてほしかった。できる、できないは別にして」。防げるミスに厳しい言葉を並べた。
選手もスタッフももどかしい時間を過ごしている。マルテが象徴的だった。4度走者を置いた場面で全て凡退。五回2死一、二塁では空振り三振に倒れると、ヘルメットとバットを地面に投げいら立ちをあらわにした。
中日、DeNAと、交流戦終了までBクラスにいた2チームに連続で負け越し。借金2となり、再び4位に転落した。それでも指揮官の方針はぶれない。
「苦しい時ほど楽しめるような気持ちでやれたらスゴイと思う。前を向いてやっていかなアカン。まだまだ試合数が残っているので。若い選手も多い。成長していってほしい」。5日からは甲子園で広島、巨人との6連戦。球団史上最大差逆転劇を見せられるか。矢野阪神の正念場は続く。