首位を激走する広島をマツダで止め、貯金「５」で４日からの交流戦に挑む矢野阪神。昨年は２つの貯金でパ各球団と対したが、今年はさらに余裕を持って最初のロッテ３連戦（ＺＯＺＯマリン）に向かう。阪神のレジェンドＯＢ・小山正明氏は「言うことなし、やろう」と現状を評価しつつ「エラーが多すぎるのが心配。自慢の投手力もそこから綻びるかも…」と守備の綻びを心配する。阪神の失策数はリーグワーストの「４７」。交流戦の浮沈は守りにあり－か。

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　ともかく一安心。巨人に甲子園で連勝しながら、マツダでの広島戦で延長サヨナラ負け、そして力負けの連敗。２位を死守しているとはいえ、ゲーム差も「５」に広がった。２日の３戦目も序盤に７点の大量リードをしながら、先発・ガルシアが突如崩れ、終わってみれば７－５の辛勝。ただ、カード６連敗中だった広島を止め、一つ寄り返したところに大きな意味がある。去年までなら、真っ赤な敵地の波に飲まれて為す術もなかっただろう。この土壇場の踏ん張りこそ、生まれ変わった矢野虎の本領だと思いたい。

　ちょうど１週間前、巨人、広島と続く試練の６連戦をどんな数字で乗り切ればいいか、虎のレジェンドＯＢ・小山正明氏に伺った。氏は「最低でも３勝３敗やで」と話していたが、結果は３勝２敗１中止で、１つの勝ち越し。２勝４敗で十分、というこちらの考えをいい意味で裏切ってくれた。さっそく携帯を鳴らし、レジェンドの評価を聞いてみた。

　－先週は上位だったの巨人、広島相手に３勝２敗。広島には予想通り苦戦を強いられましたが、上出来じゃなかったですか？

　「チームの現状を考えた時、巨人、広島と続いた５試合で３勝２敗というのは、言うことないんやないかな。巨人の初戦（２９日）は代打・高山の劇的な満塁サヨナラ本塁打、次（３０日）が高橋遥の今季初勝利。チームが盛り上がる、いい勝ち方やったよ。マツダでの連敗はある意味仕方ないとして、最後を何とか勝ち切ったのも大きいわな」

　－ズルズル行きかねないところで踏み止まった感じですね。ただ、心配なのが失策の多さです。２日の広島（１２）戦でも今季最多タイの４失策。チーム４７失策は最下位ヤクルトよりも多くてリーグワースト。これって投手出身の小山さんから見てどうですか？

　「僕ら長年鳥谷のショートを見てきたんやが、彼は守りに関しては非の打ち所のない選手やった。それだけに、現状は心配。今年は新人の木浪が主に守ってるけど、守備範囲、打球判断を含めてまだまだやね」

　－その木浪は遊撃部門でリーグワーストの８失策。北條もワースト３番目の６失策ですから内野守備コーチも悩ましいところでしょう。

　「投手は低いところに投げてゴロを打たせるのが仕事。そのゴロを打たせても内野陣がこれではどうしょうもならん。守備は個人の技量がはっきり出るけど、それは練習して克服するしかないやろう。これから交流戦に入っていく中で、矢野監督にとっては頭痛の種になるんじゃないか」

　リーグワーストの失策数を記録する野手陣を、リーグ２位の防御率（３・４９）を誇る投手力で支えている、というのが現状。ただ、致命的なミスが引き金になって投手陣が決壊する恐れは十分ある。これから始まる梅雨から夏場にかけてが投手たちの正念場。特に、獅子奮迅の活躍を見せている来日１年目のジョンソンにとっては初めて経験する期間となるだけに、守備の綻びを端緒にした乱れが怖い。

　心配し始めたら「あれもこれも…」と尽きない。右ふくらはぎ筋挫傷で１軍出場選手登録を抹消された福留はいつ帰ってくるのか、糸井の状態はどうなのか…。４日から始まる交流戦は、リーグ５位のロッテが初っぱなの相手。連勝中とはいえ、まだ与しやすい方と言えなくもない。不安要素は多々あるものの、ここは勝ち越しで何とか通過したい。

　「もちろんやで。絶対に２勝１敗でいかんとアカン。これまで通り、投手力でしのぎきる戦い方になるやろうが、僕はここに来て調子を上げてきた４番大山の打撃に期待したいね」。小山氏が『絶対に』というフレーズをより強調したように、パの下位チームに負け越しは命取りになる。千葉マリンは強風で有名な球場。そんな風に翻弄されることなく、地に足をつけて戦ってほしいところだ。（デイリースポーツ・中村正直＝１９９７～９９年阪神担当キャップ、前編集長、現販売局長）

　【販売局インフォメーション】

・今月１８日（火）に、岡山・倉敷マスカット球場でセ・パ交流戦「阪神－楽天戦」が開催されます。デイリースポーツは試合前にＰＲ号外を配布し、試合の盛り上げに一役買います。プレゼントが当たるクイズもあります。観戦のお供に是非‼

・４日の紙面に前阪神タイガース監督・金本知憲氏が久々に登場します。“金本節”を炸裂させる相手はあの人…ご注目下さい。