秋山0封 平成ラスト星「正直、狙ってた」昨年6月以来の復活1勝

 お立ち台で笑顔を見せる(左から)糸原、秋山、福留
3枚

 「阪神8-3広島」(30日、甲子園球場)

 久々の景色を眺めながら、阪神の秋山は静かに笑っていた。お立ち台からヒーローを呼ぶ声が聞こえる。「正直、狙ってた」という平成最後の勝利投手。7回を投げ3安打無失点。昨年6月7日以来、327日ぶりの1勝で、昭和、平成から令和と紡ぐ球史に名を刻んだ。

 「平成最後。気持ちを込めて投げました」

 中17日で迎えた2度目の登板。昨年10月の右膝クリーニングを経て、まだ完全に球威が戻らない中、投球には工夫を施した。カットボールを決め球に、110キロのカーブを交ぜる配球。走者がいない場面でも打者によって、打席途中でもセットポジションとワインドアップを使い分けてタイミングを惑わした。

 最大のピンチは七回。2死一塁から安部に、この日初めて四球を与えた。続く代打・西川。1-1から3球目、真ん中低めのフォークで、二ゴロに打ち取って脱した。矢野監督に「次につながる形で終わっておくのも一つ」と、次回登板を確約させた93球。今季初勝利には親友に、無言のエールも込めていた。

 「この厳しい世界に入って、10年もの間、一緒にやれるって、なかなかないですよね。僕、夢があるんです」

 1月。原口が大腸がんの手術を受けた。同学年で平成21年度ドラフトの同期入団。特別な思いがある。ただ、男同士。言葉にできない思いをプレゼントに込めた。「あからさまにやると嫌がるヤツなんで。でも、力になりたい」。同い年の梅野、陽川、岩貞、岩崎も含めて、6人のイラストが描かれたTシャツを作成。「青が好きなんですよ」と、色にまでこだわった6枚だ。

 「僕の一方的な思いかもしれないですけど。いつか2人で、お立ち台に上がりたい。僕の夢なんですよね」

 復活の1勝は2人、約束の1勝でもある。王者・広島に挑んだ真っ向勝負。平成で築いた絆を令和につなげる。「この1勝だけじゃない。しっかりローテに入って、仕事をしていくのが一番です」。肩を組んでスタンドを見上げるその日まで。闘う理由が心を強くする。夢が秋山を支える。

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