才木、踏み込み改善で成長 香田コーチ「アクセルを踏むように」
独自の視点からプレーの深層に迫る「虎目線」-。22日の中日戦でラストチャンスと言われながら、7回1失点で4勝目を挙げた阪神・才木浩人投手(19)にスポットを当てる。3戦連続KOから修正したポイントは踏み出した左足。香田投手コーチの「アクセルを踏むように」というアドバイスを反すうしたことで、抜け球が減り、直球の威力を取り戻した。
フィニッシュの形がナゴヤドームのマウンドでは違っていた。しっかりと踏み込み、ボールの動線と同じホーム方向へ体が出てきていた。結果が出なかった時は一塁側へ開くように流れていた才木。どうやって修正したのか-。香田投手コーチはこう説明する。
香田投手コーチ「本人に言ったのは、“アクセルを踏むように”ということ。踏み込んだ時に左足が浮いてしまうクセがあったから。車のアクセルを踏むように、しっかりと踏み出す。それができたことで体も一塁側へ流れなくなったんじゃないかな」
実際に2枚の写真を比較してみると、悪い時は踏み出した左足のつま先部分が浮いている。しっかりとボールに力が伝えられず、ストレートの質と球威は落ちた。変化球も高めに抜ける傾向があった。
さらに一塁方向へ体が逃げることで外角を狙ったボールが内角に甘く入る“逆球”も頻発。3戦連続KO中は中日・高橋、巨人・阿部、広島・鈴木といずれも逆球を完璧に捉えられ、スタンドへ運ばれた。才木自身も原因を自分で分析。フィニッシュ時のつま先に意識を置いて、修正に取り組んでいた。
才木「アクセルを踏むようにという意識は持っていました。つま先から入って、しっかり体を前(ホーム方向)に流すというイメージで。(土踏まずの部分が)浮くクセはあったので、そこはトレーニングをしてよくなったと思います」
中6日のルーティンを消化する中で、意識的に内転筋を強化するメニューを増やした。そして下半身と上半身の連動を意識づけるトレーニングも積極的にこなした。若手投手はいったんフォームを崩すとなかなか立ち直れない傾向がある。それでも高卒2年目の19歳は指導者の言葉に耳を傾け、自分の中で咀嚼(そしゃく)し、修正に必要なものを自ら考えることで結果を導き出した。
才木「イニング間のキャッチボールの時も、左足をしっかり意識して。そうやって修正することでよくなっていったかなとは思います」
才木がプロ野球人生を歩んでいく上で、この経験は大きな財産となる。状態が落ちた原因を知り、そこからの修正方法を体感したことが、“技術の引き出し”となって若き右腕に根付いていく。
おそらく今後も壁にぶち当たることが予想される。そのたびに課題と冷静に向き合い、真摯に取り組む姿勢を失わなければ-。きれいな成長曲線を描ける可能性を、才木は持っている。