原口決めた! 魂の決勝打で広島にカード勝ち越し

 「阪神2-1広島」(16日、甲子園球場)

 阪神が接戦を制し、2カード連続の勝ち越し。決めたのは原口文仁捕手(25)だ。1-1で迎えた八回。2死一、二塁からしぶとく三遊間を破る勝ち越し打を放った。開幕カードで抑え込まれた広島・九里のシュートを捉える決勝打。今季最多4万6317人が詰め掛けた甲子園が、大歓声に包まれた。

 ほんの少し甘く入ってきたシュートを、魂を込めて振り抜いた。今季最多4万6317人が見守る大甲子園が、大きく揺れる。殊勲打を放ったのは原口。九里を打ち砕き、勝利への道を照らした。

 「なんとか食らいついていこうという気持ちで、バットを短く持っていきました」

 1-1の八回2死一、二塁。前打者・福留の四球を見て「僕で勝負だなと勘づいていました」と気合はみなぎっていた。シュートで懐をえぐられ、フルカウントからの6球目。甘くなった勝負球を見逃さず、左前へ決勝のタイムリーだ。原口らしい、笑顔のガッツポーズで聖地が沸いた。

 昨年の今頃は、まだ背番号124の育成選手。不断の努力が実を結び、今や猛虎打線に欠かせない5番打者に成長した。ファンレターの数が増えたことに対しては「それはね…」と謙遜するが、忘れられない一通の手紙があるという。涙が出そうになるくらい、心の中を揺さぶられた。

 「もう野球を辞めようと思っていたんですけど、原口さんのプレーを見て感動したんです。『もう一度やってみよう』と決意しました。頑張ります!」

 なぜ野球を諦めようとしたのかは分からない。だが、どこか通じ合うものがあった。度重なるケガに苦しめられ、何度も「もうダメかもしれない…」と落ち込んだ育成時代。戦力外の恐怖を感じ、危機感を募らせていた昨年の今頃。後ろ向きになりそうな自分を奮い立たせ、何万回とバットを振った。諦めなかったから、大好きな野球が続けられている。

 7日からの巨人3連戦(甲子園)から、打席で構える際に左足を半足分開き、オープンスタンスにしている。テークバック時、左肩が捕手方向へ入り過ぎないようにするため。常に工夫を怠らない姿勢が好結果の要因だ。

 金本監督は「食らいついて、ヒットを打っていくのが原口のいいところ」と信頼を寄せる。接戦を制し、今カードは広島に2勝1敗で勝ち越し。春の聖地で果たした“鯉倒”が虎をさらに強くする。

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