金本監督、野球の力で勇気と希望を

 東日本大震災から5年の11日、阪神が甲子園球場で黙とうをささげた。仙台市の東北福祉大で4年間の学生生活を過ごした金本知憲監督(47)は「東北は第2の故郷」と語るなど、一部で復興の進まない思い出の地に思いをはせた。この特別な日に野球賭博問題に揺れる球界の現状にも初めて言及。2週間後に迫る開幕戦に向け、ファンに希望を与える使命感を新たにした。

 金本監督のまぶたの裏には5年前の惨状がはっきりと映し出されていた。この日、甲子園球場には半旗が掲げられ、練習開始前の9時57分からチーム全員で東北の方角へ向かって整列。30秒間、黙とうをささげた。

 杜の都が壊滅的な被害を受け、慣れ親しんだ街が津波にのみ込まれた、あの日のニュース映像をいつまでも忘れることはできない。

 「覚えている、覚えているよ。あの日は甲子園の室内練習場にいたけどね…。大学が仙台だから。やっぱり東北というのは僕の第2の故郷ですから。震災当時の空港の映像を思い出したりしましたし…。よく使ったところですからね。東北の人と話しても、復興とかまだまだ、皆が思っているほどまったく進んでないということはよく聞いています」

 10月の監督就任後、固い信念のもと、ときに鬼の形相でチーム改革を断行してきた。伝統球団を変革するため。球界を盛り上げるため。使命感を胸に前だけを見据えてきたが、立ち止まって振り返らなければならない日もある。開幕まで2週間。特別なこのときを気持ち新たな日にするつもりだ。

 惨劇から5年を経過した今、球界は賭博問題で揺れている。「黒い霧事件」が暗い影を落としてから半世紀近く。伝統を二分するライバル球団が危機的な状況に陥るという、耳を疑いたくなるニュースが連日報道され、心を痛めている。

 「問題が次々出てきているけど…何と言っていいのか分からない。言葉がないというか…何をどう表現していいのか分からないけれど、残念であることは残念だから。そこは変わりないから」

 球界がひとつになって解決するべき問題であり、対岸の火事などという認識はない。それでも、根深く先行きのかすんだ難題だけに滑らかに言葉を紡ぐことはできない。東日本大震災当時は「プロ野球開幕問題」で世論は二分されたが、「延期」を主張する選手会を後押しするなど東北被災者の立場に立って、明確に意見を発した。

 今できることを問われれば、失望するファンに明るい話題を届けること。「野球の力」で勇気を希望を-。

 「うんそうだね」

 3・11の誓いを胸に、金本監督は夢のあるプロ野球開幕へ歩を進める。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

タイガース最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス