「阪神紅白戦、白組４－１紅組」（１１日、宜野座）

　阪神・藤浪晋太郎投手（２１）が１１日、沖縄・宜野座村野球場で行われた紅白戦で先発。今季初実戦のマウンドで１５６キロをマークし、予定の２回を１安打無失点に抑えた。昨季後半に右肩炎症を訴えたが、不安を一蹴。メッセンジャーらと争う開幕投手争いで一歩リードした。

　たった１球で、キャンプ最多１万１０００人の観衆を魅了した。最高気温２２度。球春を告げた沖縄を舞台に、藤浪が鮮やかな復活劇だ。北條への初球、外角低めへ投じたボールは２月上旬では異例の１５６キロをマーク。１６年実戦初マウンドで、全快をアピールした。

　「まだまだかな、という感じです。状態としては６割も仕上がっていない。（１５６キロは）正直、どうでもいいです。今はそこじゃない。もっと質のいいボールを投げていきたいです。まだまだ良くなると思います」

　昨季後半に発症した右肩痛の不安を一蹴した。初回、先頭上本を１４４キロのフォークで空を斬らせ、３球三振。最高のスタートをきると、安打された北條を一塁に置き、両ひざを折る新セットポジションを披露した。長くボールを持ち、けん制でアウトに。高速クイックに手応えをつかむと、今成はバックドアで空振り三振。二回も打撃好調の緒方にこそ四球を与えたが、江越を寄せつけず、カットボールで投ゴロ。緩い打球を落ち着いてさばき、予定の２回を１安打無失点にまとめた。

　２月１１日。自己最速登板が仕上がりの良さを物語る。本人は「日程的にちょうど紅白戦があったので。シート（打撃登板）ならシートでも良かった。対バッターの間合いをつかみたかった」と経緯を説明したが、集中力は研ぎ済ませれていた。試合直前には金本監督と下柳臨時投手コーチの対決が実現。指揮官の痛烈な安打にも「ブルペンで肩をつくっていたので、しっかり見ていなかった」と１人の世界に入り込んだ。

　ネット裏にはセ・リーグ５球団の００７が集結。巨人の樽見スコアラーは「あのレベルのピッチャーだからもう言うことはない。肩の不安も一切ない。すごい投手です」とため息を漏らすしかなかった。

　試合後、金本監督は「３月に１００％万全というのはちょっと厳しいという判断じゃないかな」と３月上旬の侍ジャパン強化試合の出場辞退を示唆した。調子のピークはあくまで「３・２５」の開幕戦だ。メッセンジャーと争う開幕レースを大本命が堂々のリードだ。