阪神のドラフト３位・竹安大知投手（２１）＝熊本ゴールデンラークス＝が２日、静岡県伊東市内の母校・富戸小学校で自主トレを公開した。伊豆半島東北部に位置する同市は別府、熱海と並ぶ日本三大温泉郷の一つ「伊東温泉」を誇る湯の町。目標である世代を代表する投手となり、地元に“竹安温泉”を作る－。プロでの活躍を誓い、思い出の地へ恩返しとなる夢プランを披露した。

　日本有数の湯の町で育った竹安には、壮大な夢があった。“竹安温泉”を作る－。世代を代表する投手となり、「竹安」の名を全国にとどろかせることができれば、現実となる可能性はある。地元・伊東市への恩返しが、プロの道を歩む上での原動力だ。故郷に錦を飾るべく、右腕の飽くなき挑戦が始まる。

　「なんらかの形で伊東市の力になれればと思っています。やっぱり、温泉がここの一番の観光。（観光客増の）効果を出していければいいと思います」

　別府、熱海と並ぶ日本三大温泉郷の一つに数えられる伊東温泉。源泉数は７８０本で国内第３位。弱食塩泉の泉質は保温効果があり、血行良化を促すという。市内に約１５０軒の温泉施設があり、右腕も幼い頃から親しんできた。

　「母親が『かんぽの宿』というところでパートをしていたときがあったんです。家族は無料で入れましたね」

　週に一度のペースで施設内の天然温泉を堪能していたという。また、港にあった船の部品で浴槽を作り、源泉掛け流しの湯を入れた「温泉丸」も度々利用していた。近所には温泉を掘り起こし、自宅の風呂へ流し込む家庭も…。伊東温泉は、日常生活の一部だった。

　プロの舞台で活躍し、チャンスがあれば「伊東市観光大使」にも立候補する考えだ。そのためにも、球界を代表する投手になる。まず目指すのは、同学年の“藤浪超え”だ。

　「目指すべきところは、そこになってくると思います。負けないようにしたいです」

　元日から始動し、この日も母校・富戸小で自主トレを行った。１４年１２月に受けたトミー・ジョン手術を考慮され、春季キャンプは２軍スタート。だが焦らず、ゆっくりと歩を進める。地元の町に、「竹安温泉」の看板が彩る日を想像しながら。