福留先生見習え!オリ金子から5階席弾
「交流戦、オリックス15-1阪神」(13日、京セラ)
38歳、阪神・福留のパワーは健在だ。四回1死。初球フォークに空を切らされた後の2球目だった。外寄りの速球をフルスイングで描いた今季8本目の放物線が京セラドームの5階席まで伸びていった。これまで日本で計136投手から本塁打を放ってきたスラッガーが初めて金子を捉え、先制点をもぎ取った。
「かなりいい感触でした。金子投手は素晴らしい投手なので先制できたことはチームとして大きいですし、自分としてもいい投手から本塁打を打てたことはうれしいです」
快音直後、球団広報に託したコメントには球界屈指の右腕を砕いた爽快感がにじんでいたが、試合はその裏の6失点で暗転。不快な14点差負けの後は無言のまま帰路についた。
前夜は延長十回無得点でサヨナラ負け。この日も福留のソロ1発による得点だけに、関川打撃コーチは「孝介のバッティングを見習ってほしい」と攻撃陣に奮起を促した。
日米通算1846安打、257本塁打の背番号8はときに「先生」になる。1674安打の鳥谷だって例外ではない、生徒だ。
交流戦直前の5月22日DeNA戦(横浜)で先生の面目躍如たるシーンがあった。鳥谷が二回に山口から左翼席へ2号2ランを放り込んだ後、キャプテンと福留はベンチ内でジェスチャーを交え、技術論を交わしていた。
「あれは左腕の使い方だよ。後ろの腕をうまく使って押し込めば逆方向へああいう打球が飛んでいくという話をしてたんだけど、その後はたまたまね…」
直後の三回、鳥谷のVTRのような軌道で山口から左翼へ5号ソロ。こうだろ?と言わんばかり、経験のなせる技と衰えないパワーの結晶がチームのよきお手本になっている。
昨季のこの時期は不振で2軍調整を強いられていたが、今年は本領間近を予感させる。