ゴメス同点撃「子どもに」白星贈った
「阪神4-2中日」(5日、甲子園)
阪神の頼りになる主砲に、子どもたちの大歓声が降りそそいだ。先制された直後の同点適時打。ゴメスが黄色く染まったスタンドに歓喜を呼び戻した。
1点を追う初回2死二塁だった。山井に2球で追い込まれた後の3球目。外角へのボール球の140キロに腕を伸ばすと、ライナーが一、二塁間を破った。
4月29日のヤクルト戦以来5試合ぶりの打点となる右前適時打。「コースに逆らわず、いいスイングで打ち返せた。早く追いつけてよかったよ」。これで山井とは通算24打数12安打で対戦打率・500。今後の戦いを見据えても、中日のエース級をまたも攻略した意義は大きかった。
来日2年目。進化の跡を見せている。昨季は広島・エルドレッドに次ぐ166三振を喫したが、31試合終了時点で昨季より三振が10個も少ない。「打てる球を打つ」。常々、繰り返す言葉を実践できている背景には、試行錯誤の日々がある。
オープン戦では調子が上がらず、開幕後にオープンスタンスを試した。中日との開幕3連戦は毎日、ビデオルームにこもった。4月上旬は数日間、フリー打撃後にティー打撃を“おかわり”したこともある。
「特にチェックポイントはないんだけど、感触がよくなかったからね」。研究してくる相手に対応するためのスイングを模索し続けた成果の一つが、三振数にも現れている。
試合では表情を崩さなかった助っ人も快勝後は、優しい父親の顔に戻っていた。「ドミニカにもこどもの日はあるけど、いつだったか忘れてしまったね。でも(日本のこどもの日に)勝ててよかった。子どもにこの勝ちをプレゼントするよ」。勝利が何よりの活力となる。主砲は意気揚々と、自宅で待つ妻子の元へと急いだ。