「阪神３-１ヤクルト」（２９日、甲子園）

　２点リードの五回２死一、二塁。雄平の当たりは強烈なゴロとなって阪神・鳥谷の右を襲った。虎ファンの悲鳴の中、打球は横っ跳びの背番号１が差し出したグラブに入り、倒れながら二塁ベースカバーに入った上本にバックトス。滑り込む川端の足より一瞬先に収まった。

　チームを救った美技。それでも派手なガッツポーズはない。大歓声を受けながらベンチに走って戻った。

　四回２死一、二塁では頭脳プレーも見せた。この場面で、二塁寄りに移動すると、大引の中前へ抜けようかという当たりをグラブに当てて落とし、上本にトス。「走者が埋まってたんで、捕りにいかずに落とせば何とかなると思いました」と振り返った。

　守り勝った試合だった。毎回走者を背負う展開。それでも二回には無死一、二塁から中村、七回には無死一塁から山田をどちらも二ゴロ併殺に仕留めた。八回には無死満塁で代打・森岡を遊ゴロ併殺。鳥谷、上本の二遊間コンビで３併殺を完成させた。

　「リズムよく投げてくれたんで守りやすかった」

　和田監督も「走者のいるところで投手には大きなアドバンテージ。鳥谷が助けてくれている」と絶賛した。“守り神”が猛虎を支えている。