ドラ1横山圧巻初フリー!掛布DC絶賛
「阪神2軍キャンプ」(23日、安芸)
左胸鎖関節の炎症で調整が遅れていた阪神・ドラフト1位の横山雄哉投手(21)=新日鉄住金鹿島=が23日、故障後初となるフリー打撃に登板。黒瀬に対して24球を投じ、バットを2本へし折るなど安打性の打球を2本に抑えた。打撃ケージ後ろで見守った掛布雅之DC(59)は「1軍で十分戦っていけるだけの直球」と絶賛。早ければ3月10日の教育リーグ・ソフトバンク戦(鳴尾浜)でデビューを果たす。
南国の暖かい風を感じながら、横山が安芸のマウンドに立った。打撃ケージ後方には古屋2軍監督をはじめ掛布DC、高野球団本部長、佐野統括スカウトらが集結。緊張感漂う中、表情をグッと引き締めたドラ1左腕は、圧巻の投球を披露した。
初球は真ん中高めに力のある直球。表情を崩さず汗を拭うと、その後も左腕を振り続けた。黒瀬の打球もキレのある直球に押され、まともに前に飛ばない。
そして7球目。内角へクロスファイヤー気味に入る持ち味の直球が「ミシッ」という鈍い音を伴って、豪快にバットをへし折った。「少し変化してきた」と黒瀬。カット気味に横滑りするときがあるという独自の直球。「そうなるのは武器でもある」と横山は不敵な笑みを浮かべた。
変化球を織り交ぜた横山のパフォーマンスは、時間を追うごとにさらに加速した。迎えた19球目。今度は真ん中高め直球でバットに亀裂が入った。全24球で安打性の打球はわずか2本。ボール球は7球と制球面も含めて上々の試運転だ。
「打者に投げられたことが第一歩。投げられないところから、段階を踏んでここまできたので。7割の力で投げましたが、高めに浮きましたし、球自体のキレはあまりなかった」と自己採点は厳しかったが、周囲の評価は違った。
掛布DCが驚きの声を上げた。「江夏さんが言う『質の良い真っすぐ』はこういう球じゃないかな。右打者の内角にクロスで入ってくる球がいいよ。1軍でも十分戦っていける直球」と即戦力の前評判に偽りない直球を見初めた。
年明けから左胸鎖関節の炎症で出遅れ「焦りは多少あった」と振り返る。悔しさを押し殺し、じっくりと歩を進めてきた。昨年11月の21Uワールドカップ以来の実戦復帰について、古屋2軍監督は「3月10日(教育リーグ・ソフトバンク戦)くらいかな」との青写真を明かした。
151キロ左腕が逆襲の波を起こす。「自分のペースで、そこ(開幕)を見ながらやっていきたい」。開幕1軍へ視界は開けた。