藤浪8500万一発サインも熱弁95分
阪神・藤浪晋太郎投手(20)が5日、西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4000万増の8500万円でサインした。今オフチーム最長となる95分のロング交渉では、プロテインバーの導入や、熱望していた広島・前田との合同自主トレ参加を訴えた。さらに、来季の開幕投手に立候補し、エースの自覚をにじませた。
純粋な思いを球団にぶつけた。午後3時から始まった交渉は予定の1時間を大幅に超えた。今オフ、チーム最長の95分間。藤浪が球団と膝をつき合わせて、熱弁を振るった。
「いい評価をしていただいたと思っています。主に練習のことだったり、環境のことです。日本代表に参加していいと思ったこと、取り入れてほしいと思ったことを球団に伝えました。自分の意見を言えるだけ、言わせてもらいました」
疲れも見せず、スッキリした表情でロング交渉の内容を明かした。金額は4000万増の8500万円。1億の大台には届かなかったが、高卒3年目では球団史上最高額で一発サインした。ただそれ以上に、チームが強くなるための話し合いに時間を費やした。
まず、日本代表での貴重な経験を球団に還元した。11月に初参加した侍ジャパンでは「栄養学というか、プロテインバーのようなものが充実していた」と振り返り、早速、球団施設にプロテインバーの設置を提案した。
さらに以前から熱望していた広島・前田との合同自主トレを直接訴えた。「タイガースの環境は申し分ないですけど、自分の中でプラスアルファになることを求めたいと思った。一流の方と練習させてもらえたら」。その熱意は球団にも届いた。オフは若手主体の強化練習参加が予定されていたが、「大筋OKのような感じでした。後日、返事をいただくことになっています」と実現への手応えをつかんだ。
すべては来季への決意の表れだ。モノを言うだけではない。「世間の評価として、藤浪がタイガースを支えていると言ってもらえるように」と理想を掲げ、開幕投手にも初めて手を挙げた。
「今年はそれに見合う成績かと言われたら、そうじゃないかもしれないですけど、気持ち的にはしっかり目指してオフの間、調整していきたいと思います」ときっぱり。目標はリーグ優勝、日本一だ。エースを狙う3年目。藤浪は言葉だけで終わらない。